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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#5
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しない、緊急会議にも遅れるなんて────ビゲラブナ伯爵は聞きしに勝る傍若無人な人物のようだ。
「では、ビゲラブナ伯爵を待つ間に、改めて今回の一件について説明させていただく」
おじ様はそう言って、発端を語り始めた────
おじ様の話が終盤に差し掛かったところで────先程、皇王陛下が入場された扉が、突然、大きな音を立てて乱暴に開かれた。
自ら扉を開けたらしい、頬が弛むほど肥え太った派手な格好の男が、その体形の割には足早に踏み込んで来る。
男は、怒りを堪えきれないというように、血が上って赤くなった顔を歪めて叫んだ。
「ロウェルダ公爵、何度も呼びつけて、一体どういうつもりだ!私は忙しいと何度言えば────」
私たちの視線を感じたのか、ようやく状況に気づいて、男がそこで言葉を止める。辺りを見回して───唖然として、間抜けな表情を曝す。
「な、何だ、これは。何故、こんなに集まっている…!?」
「何故?────貴殿は何を言っているのかな。これは未曽有の事態だ。緊急会議を開くのは当然でしょう」
おじ様が冷たく返す。
「本来ならば、ビゲラブナ伯爵────防衛大臣である貴殿が開くべき会議ですよ」
おじ様の言葉に、ビゲラブナ伯爵と呼ばれた男は、再び顔を真っ赤に染める。
「何を勝手なことを…!私は大したことはないと判断したんだ!!」
「大したことはない?貴殿は────本気で言っているのか?」
おじ様の声音が、低く凍てつく。ビゲラブナ伯爵は一瞬怯んだものの、一層、声を張り上げて言い返した。
「あ、当たり前だ!何故、たかが魔物の集落ごときで私が煩わされなければならん!大体、魔物をどうにかするのは冒険者の責務だろう!?」
冒険者の責務?────おじ様じゃないけど、何を言ってるの、この男。
「…宰相閣下、発言を許してもらえるか?」
ガレスさんが、不意に口を挟んだ。
「皇都支部ギルドマスター殿───どうぞ」
おじ様の許可を得て、ガレスさんが立ち上がって、ビゲラブナ伯爵に目線を向ける。
「ビゲラブナ伯爵といったか────お言葉だが、魔物や魔獣の討伐は我々冒険者の責務ではない。我々冒険者は、依頼を受けて討伐しているに過ぎない。依頼を受けたなら、その依頼に対する責任は生じるが────依頼を受けるも受けないも自由で、討伐は義務ではない」
ガレスさんの言う通りだ。何を勘違いしているのか知らないが、私たち冒険者に魔物や魔獣を討伐しなければならない義務も責任もない。
皇都や大きな街では需要があるから、依頼がなくても自主的に狩りはするが───小さな町や村では依頼ありきで、報酬が見込めなければ基本的に冒険者は動かない。
ここのギ
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