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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#5
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も張りがあって皺も目立たず、すらりとした体形を保っていて若々しく見えた。

 だけど、それは、おそらくお金をかけて造られたものだ。おじ様の年齢を重ねても損なわない美貌などとは、比べるべくもない。

 私はその男の素性を知らなかったが、男自身の発言によって知ることになった。

「何故、この私がこんな末席なんだ!私は、この国の皇妃の尊父だぞ!無礼にもほどがある…!」

 静かだった空間が、さらに音を失くす。正確には、ここにいる誰もが絶句したというべきか。

 男に宛がわれた席は、位置的に中堅が座る席次で、決して末席などではないし────“尊父”とは、他人の父親を呼称する際に用いられる言葉で、自称に使うものじゃない。

 これが────この男が…、あの皇妃の実の父親であり────現ベイラリオ侯爵。


 ベイラリオ侯爵が、なおも不満を言い募ろうとしたとき───不意に上座に近い扉が開かれた。

「皇王陛下のお成りです」

 扉を開いた侍従は声高に告げ、一歩中へ入ると端に寄って、背後にいる人物に道を譲る。

 レド様たちテーブル席に着く出席者、上座にいるおじ様が一斉に立ち上がった。ベイラリオ侯爵は憮然としながらも、渋々、案内された席に立つ。

 侍従に道を譲られたその人物は、ゆったりとした足取りで、上座の上段へと登ると───こちらに正面を向けた。

 彼こそ、このレーウェンエルダ皇国皇王陛下────ドリアム=アン・レーウェンエルダだ。レド様のお父様でもある。

 まだ五十代半ばのはずだが、後ろに撫で付けた髪も鼻の下に蓄えた髭も白く、肉付きの薄い青白い肌のせいで、もっと年老いて見える。

 だけど、その眼差しは力強く────噂で聞くような無気力な人物とは、とても思えない。


 皇王陛下の後に続いて入って来たゼアルム殿下が、皇王陛下の隣に佇む。

 皇王陛下、ゼアルム殿下の親衛騎士がそれぞれの背後へと控える。最後に、お二人を案内してきた侍従が扉を閉めて、上段に昇る。

 侍従が定位置に控えたのを機に、皇王陛下が口を開いた。

「皆の者、ご苦労。忙しいところ、よく集まってくれた。座ってくれ」

 皇王陛下がまず席に着き、次にゼアルム殿下が席に着く。そして、続いてレド様が席に着くと───他の者たちが同時に席に着いた。

 おじ様だけは立ったままで、全員が座席に着いてから、口火を切る。

「さて、早速、会議を始めたいところではありますが────肝心の防衛大臣であるビゲラブナ伯爵がまだ到着しておりません。少々お待ちいただきたい」

 上座の上段で控える侍従とは別の侍従が、指示されるまでもなく出て行く。ビゲラブナ伯爵を呼びに向かったのだろう。

 それにしても、この非常事態に動こうとも
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