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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十六章―黎明の皇子―#4
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だけならまだしも、所有者の命まで奪われることも多く────それが、魔術師が希少であることに拍車をかけていた。

 セレナさんも、何度も付け狙われたことがあるらしい。無事だったのは、(ひとえ)にヴァルトさんとハルドのおかげだ。

「何だってまた、そんなことが知りたいんだ?」
「捕らえたディルカリド伯爵が、複数の魔術陣を所持していたんですが───幾ら、魔石を調達する立場だったからといって、所持する魔術陣の数が多過ぎるように思えるんです」

 数が多いだけでなく───かなり強力な魔術陣が、幾つもあった。

 あれほどの魔術陣を持っていたのなら────三年前、皇城に抗議に出向いたとき、その場で復讐を遂げられていたはずだ。

 だとすれば───全部ではないだろうけど、あの魔術陣の幾つかは後から手に入れたものだと考えられる。

 だけど、潜伏中だったディルカリド伯爵が、そんな高価なものを幾つも手に入れられるとは思えない。

 まあ、コネを使って融通してもらった可能性もあるが───それよりも誰かから強奪する方が手っ取り早いし───セレナさんの弟たちへの仕打ちを鑑みても、ディルカリド伯爵はそういうことを仕出かしそうな人物に思える。

 もし───私の想定通りに、あの中に盗品があるのなら、持ち主───あるいは遺族に返さなければならない。


 セレナさんの弟であるバレスなら何か知っているかもしれないが───バレスはかなり衰弱していて、昏睡状態を脱していない。

 使用人部屋の一室とはいえ、寝かせているのが古代魔術帝国仕様のベッドなので───ある程度回復するまでは、目覚めないはずだ。


「……解った。集落のことが済んだら、情報をまとめておく」
「お願いします」



「話しておかなければならないことは、こんなところか…。リゼ───他に何かあるか?」
「……いいえ。今のところはありません」
「オレたちにもないな」

「では───俺たちはそろそろお(いとま)する」

 時間を確認すると、もう午前11時を回っている。
 結構、長い時間、話し込んでいたようだ。

 ガレスさんが呼ばれている場に、レド様も呼ばれるかもしれない。

 今日はラムルもエデルもお邸にいるから、使者への対応は心配ないとは思うが───私たちも一度お邸に戻った方がいいだろう。昼食も摂らなければならないし。


「あ───そうだ、ガレスさん。『高潔の剣』の皆さんに、お疲れさまでしたと伝えておいてくれませんか」

 『高潔の剣』とは、今回ダウブリムの街へと行ってくれたパーティーだ。

 ベルロさんの商隊を護衛して、この皇都にやって来た冒険者パーティーで───メンバー全員がBランカー冒険者であるらしく、私は少し会話をし
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