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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#14
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上れない。かといって───1階には、二人を寝かせる場所がない。
「院長先生、北棟へ行こう」
ラドアの迷いを察したラナが、提案する。
「大丈夫なの?」
「緊急事態だもの。リゼも殿下も───咎めるようなことはしない」
自分の主たちを信じているのだろう。ラナは力強い口調で、言い切る。
「では────北棟へ連れて行きましょう」
◇◇◇
塔の内部がかなり様変わりしていることに、ラドアは内心驚きつつ───北棟へと進む。
個室に向かおうとするラナを、ラドアは止めた。
「ラナ、二人の傷口の汚れを落としたいのだけど───どこで洗えばいいかしら?」
リゼラはこの建物に【
最適化
(
オプティマイズ
)
】を施している。それなら、何処かに【
洗浄
(
ウォッシュ
)
】が設置されているはずだ────ラドアはそう考えて、ラナに訊く。
「あ───それなら…」
ラナは、そのまま廊下を進んで、塔とは反対側にある扉の前までラドアたちを誘導する。ラドアの思惑通り───そこには【
洗浄
(
ウォッシュ
)
】が設置されていたようで、すぐさま魔術が発動した。
何
(
・
)
百
(
・
)
年
(
・
)
振
(
・
)
り
(
・
)
かに体験した【
洗浄
(
ウォッシュ
)
】によって汚れが消化される感覚に、ラドアは懐かしさを覚える。
汚れを落とすと、ラナはすぐ近くの個室の扉を開いた。
(ああ───ここは変わっていない…)
ラドアは、塔とは違い昔のままの部屋を見て、思い出に囚われそうになったが────今はそれどころではない、と気持ちを切り替える。
入って右側の壁に沿って置かれたベッドは大きいので、ラギとヴィドなら一緒に寝かせることができそうだ。
ベッドを見てもう倒れても大丈夫だと思ったのか、ラギは意識を失い───それに伴って、ラギの全身から力が抜けた。ラドアとラナは、慌てて二人をベッドへと下ろす。
並べて寝かせると、壁側に寝かせた方の治療がしにくくなるため───ヴィドはヘッドボードぎりぎりまで頭を寄せて寝かせ、ヴィドより身長の低いラギをフットボードに沿って縦に寝かせた。ラギの足が少しだけベッドから出てしまっているが仕方がない。
「ラナ、ヴィドの防具を取り外してちょうだい」
「はい」
ラドアはラナにヴィドを任せると、自分はラギの防具を取り外し始めた。
二人は、“ヴァムの森”で採取をしてくるだけの予定だったので、最低限の防具しか着けていなかった。
なるべく防具の劣化を遅らせるため、胴体を覆うタイプのものと右胸だけを覆うタイプのものを状況によって使い分けていて───今日は、右胸だけを覆うタイプの方を着けている。それと肩当だ。
どちらも素材は鞣革なので、ラドアでも取り外すのはそれ
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