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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#13
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み上げ────声が震えた。

 レド様の事情を知らないセレナさんとハルドは、私の様子に戸惑ってはいるものの、口は挟まなかった。

「いいえ、リゼラ様のせいではございません。旦那様が記憶を取り戻すことは、旦那様にとって───私どもにとって、必要なことだったのでしょう」

 ラムルはそう言ってくれたけど────もし、その通りだとしても、レド様が辛い思いをすることには変わりがない。

「旦那様は、レナスが?」
「…はい。お邸に連れ帰ってもらいました」
「まあ、気を失っているだけだというなら、旦那様にはレナスがついていれば大丈夫でしょう。お疲れのところ、申し訳ございませんが────リゼラ様、旦那様に代わって、ご指示をお願いします」
「解りました」

 後悔を押し込めて、ラムルの言葉に頷く。

 そうだ────私はそのために、レド様をレナスに任せて、ここに戻って来たのだから。

「それでは、現状を説明してもらう前に───先に彼らを捕縛してしまいましょう」


 ケガで動けないハルドの祖父───ドルトも念のため捕縛してから、セレナさんの弟たちがいる個所へと向かう。

 近づくにつれ鮮明になるセレナさんの弟たち────バレスとデレドの手足を斬り落とされた無残な姿に、私は足を止めて息を呑んだ。

「リゼラ様、貴女は───これ以上は近づかない方が良いかもしれません」

 同じく足を止めたラムルが言う。

 私が無残な姿にショックを受けるからといった理由などではなさそうだ。
 未だ座り込んでいるディンド卿たちのこともある。私は───ラムルに説明を促した。


「隷属の魔術陣───ですか…」

 そういったものがあるであろうことは予測を立ててはいたし、レド様から【念話(テレパス)】で、それらしいものがあることは連絡を受けていた。
 それと────【解析(アナライズ)】では情報を得られなかったことも。

 魔術陣は、もう完全に停止している。私たちが戻る直前に、消えたとのことだった。

 私がバレスとデレドに近づくことを懸念したのは、私の魔力を取り込み、再び魔術陣が発動することを恐れたかららしい。

 私は【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させて、魔術陣が敷かれている床を凝視する。しばらくして、情報が浮かび上がってきた。


催眠(ヒプノシス・イ)誘導(ンダクション)
 対象を催眠状態にする魔術式。催眠状態となるまで時間を要するものの、催眠状態となってしまえば、例外なく命令に従うようになる。【禁術】に指定されている。


「これは───魔術陣ではありませんね。古代魔術帝国の魔術式のようです」
「では、何故、【解析(アナライズ)】では解らなかったのですか?」

 ラム
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