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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#12
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を確かめようとして、ペギルは、自分の身体が動かないことに気づいた。それでも、何とか首を捻って、のしかかるものを確かめる。

 目に入ったのは────冷めた眼で自分を見下ろすヒグスだった。

「な───っおまえ、何してんだよ…!」

 どうやらペギルは、胴を縄で縛られている上、ヒグスに足蹴にされているらしいが───どうして、そんな状況になっているのかが解らない。

 意識を失う前を思い返してみても───いつものように、墓地の奥で時間を潰していたことしか覚えていない。

「おいっ、ほどけよっ!おまえっ、このオレにこんなことしてタダですむと思うなよっ!」

 言いながら、ペギルは拘束を解こうと暴れたが───ヒグスの足に押さえつけられた身体は、頭と足先が揺れただけだった。

「黙れ────クズが」

 いつもとは違う、地を這うような低い───唸るような声音で、ヒグスは言い捨てる。同時に、ペギルを踏みつける足に、一層力を入れた。

 内臓が圧迫されて、その苦しさに───ペギルは、短く悲鳴を漏らす。

「ぐぁ…!」

 ペギルはヒグスに文句を言おうとして───ヒグスのその酷薄としか表しようのない眼差しに、ひゅっと息を呑み込んだ。

 ヒグスが腰に提げた片手剣を抜く。

(何だ、この状況────これじゃ、まるで────)

 自分が、ヒグスに処刑でもされるかのようだ。

「ぉ、おい────冗談はやめろよ…」

 ペギルは、どうにか笑って茶化そうとしたものの───笑顔は引き攣り、声は震えて、失敗に終わった。

 見下ろすヒグスの眼差しは、変わらない。

 ヒグスは自分を殺す気だ────ペギルはそう悟る。

「な、なぁ、オレたちは同志じゃないか…。ヘアナのためにも、一緒にジェミナを────っが!」

 ペギルは、ヒグスを何とか思い止まらせようと口を開いたが────ヒグスに思いきり踏み潰され、増した痛みに思わず声を上げた。

「黙れ!ヘアナのためだと…!?よくも、ぬけぬけと言えるな…!」

 ヒグスは憎しみに顔を歪ませて、強い口調で吐き捨てる。

「おまえ────俺が何も知らないと思っているんだろう?おまえが…、ヘアナに────俺の妹にしたことを」

 ヒグスの妹───ヘアナは、ジェミナ付きの侍女だった女だ。そして、ペギルが利用するだけ利用して、捨てた女でもあった。

 騎士として才覚がなく出世の見込みがなかったペギルは、ジェミナの目に留まればいい思いができると考え────ジェミナとの縁を得るためだけに、ヘアナに近づいた。

 ヒグスに似て垢抜けず───男慣れしていなかったヘアナを、手玉に取るのは、ペギルにとっては造作もなかった。

 ヘアナには、ペギルとの関係を誰にも知
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