暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#9
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
【索敵】を発動させ、前方をじっと見据えた。

 魔獣の死体の向こうに、ディルカリド伯爵とドルトが佇み、息子二人は座り込んでいるようだ。

「ディルカリド伯爵、子息二人、ドルト───誰にも動きは見られません」
「そうか。ご苦労だった」

 ラムルの報告を受け───ディンドは、後ろに控える仲間たちに視線を移した。

「まずは、あの魔獣3頭を片付ける。ディルカリド伯爵たちの捕縛は後だ。魔獣の連携を防ぐため───俺、ヴァルト、アーシャで、1頭ずつ相手をする。先程同様───ラムルとセレナは、俺たちの援護を。ハルドは、セレナの護衛と補助を頼む」

 仲間たちが、了承の意を湛えて頷く。

 ディンドは魔獣に視線を戻して────告げた。

「それでは────行くぞ」


 魔獣たちは、すでにすぐそこまで近づいている。

 セレナが牽制のため魔術を放ったのを皮切りに───ディンド、ヴァルト、アーシャ、ラムルが一斉に奔り出した。

 氷刃を浴びて立ち止まった3頭の魔獣に、ディンド、ヴァルト、アーシャが、それぞれ斬りかかる。
 ラムルだけは、援護すべく、少しだけ距離を置いて待機する。

 相対する魔獣は、魔物よりは強いが、どれも変貌も巨大化もしていない。先程の巨大化していた魔獣に比べれば、状況的にも大して苦戦はしないはずだ。

 魔獣さえ倒してしまえば、後は残った人間たちを捕縛するだけだ───と、誰もが考えていた。

 失念していたのだ。その捕縛する人間の一人が────復讐の為ならば、命を弄ぶことさえ厭わない男だということを。

 魔獣と交戦し始めて、直後────不意に、轟音が鳴り響いた。

 それは───この空間の奥の方で発せられたらしく、反射的に眼を向ければ───魔獣の死体の向こうに、天井まで届く竜巻が5本、柱のように立っている。

 竜巻は、烈しく音を立てて豪風を渦巻かせながら、ゆっくり前進したかと思うと、魔獣の死体を無残に切り刻んでいく。

(あれは────魔術、か?だけど、一体何のためにこんなことを…?)

 困惑するディンドだったが、何だか嫌な予感に駆られて────呆気にとられたままの仲間たちに叫ぶ。

「今のうちに魔獣を討て!」

 今なら、魔獣たちも竜巻に気を取られている。これから起きる何かに対処するためにも、魔獣は屠っておかなければならない。

 ディンドは、自分の目の前で呆けているブラッディベアの首を、大剣で一撃のもと刎ね飛ばした。

 ディンドの言葉で真っ先に我に返ったのは、アーシャだ。

 アーシャは【身体強化(フィジカル・ブースト)】を発動して、対峙するオーガに一気に距離を詰めると───まずはオーガの腰を狙って双剣を閃かせた。リゼラによって魔剣となっている
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ