暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十五章―過去との決別―#8
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
くる。

(しばらくは、仲間たちの動向を気にしつつ、奴らの数を減らさねば)

 ディンドは、襲い掛かってきたブラッディベアの爪を躱し、前屈みになり突き出されたその脳天に愛剣を叩きつけた。ブラッディベアが倒れるのを待たずに、側にいるオーガに剣を向ける。

(しかし、ここにいる魔獣は、オーガが大半を占め、ブラッディベアが混じっている感じだな。何故───この2種だけなんだ?)

 オーガの太い腕を剣でいなしながら、ディンドはふと疑問に思った。

 ディルカリドが魔物に子を産ませて魔獣化させているのではないか───と、リゼラが推測していたことを思い出したディンドは、意図的にブラッディベアとオーガに的を絞って繁殖させたのかもしれない───と何気なく考えて、事実ならおぞましいその行為に寒気を覚える。

 それを振り払うように───対峙するオーガの首目掛けて、ディンドは剣を振るう。

 幾ら息子を失って悲嘆に暮れているのだとしても────そんなことを仕出かすディルカリドの心情は、ディンドには理解できそうになかった。


◇◇◇


(まずいな────考えていたより、仲間たちの消耗が早い)

 魔獣が理性を失っていないので、避けられたり意外な攻撃をしかけてくることもあって───魔獣1頭を討つのに手間がかかり、消耗している割に魔獣の数は大して減っていない。

 襲い来る魔獣に大剣を叩きつけながら、ディンドは仲間たちの様子を窺う。

 【魔力循環】はピアスが取り込んだ魔素を動力とするので魔力は必要ないが───敵が魔獣に切り替わってから、【身体強化(フィジカル・ブースト)】や【防衛(プロテクション)】に頼らざるを得ない瞬間が幾度もあり、魔力の消費が激しい。

 ただ───この点については予測していた。

 誤算だったのは───魔力量が減れば、その分だけ【魔力循環】の効果が薄くなるということだ。

 ディンドは主たちのように魔力量を測ることはできないが───それでも動きを見れば、仲間たちの魔力量が少なくなっていることは見て取れた。

 それに────何といってもセレナだ。

 ラムルがカバーできないところを、一手に援護してくれているセレナは、交戦が始まってから休む間もなく立て続けに魔術を行使していて───息が上がり始めている。これは魔力切れの兆候かもしれない。


 ルガレドとレナスは、まだ戻って来る気配はない。

 ルガレドの実力は解っているものの───すぐに戻ると思っていたこともあり、そのことも気がかりだった。

(まさか───ルガレド様の身に何かあったのか?)

 ディンドは焦燥を覚えたが、それを抑え込む。焦りに身を任せてしまえば、冷静に物事を判断できなくなる。


 とにかく
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ