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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#7
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てに国章を刻んだ、雄々しき騎士である彼らは───その成り立ちで以て“デノンの騎士”と呼ばれている。

(ああ───これで…、もう平民街に魔獣が解き放たれることはない)

 前回は3頭の魔獣が相手だったから苦戦したと聞いているが───今回、魔獣は1頭しかいない。魔獣討伐に慣れている彼らなら、きっと討ち取ってくれるだろう。

 カデアは、安堵の溜息を()いた────


※※※


 踏み固められた畦道(あぜみち)を、まだ幼い少年と少女が手を繋いで歩いている。

 少年は()()()()おさがりの着物を着て、少女の方は、すぐ下の妹───つまり少女にとって姉のおさがりを着ている。

 少女と少年は、後ろを歩くレナスに気づいて───“お勤め”から帰って来た長兄を見て、嬉しそうに笑みを零した。

 畦道の両脇に広がっているのは────風にさざめく稲穂の海だ。初めて見るはずなのに────レナスは、その光景に、ふと郷愁を覚えた。

(ああ、そうだ───これが“米”だ。リゼラ様が時折ご馳走してくれる、あの“白飯”…)

 (かや)で屋根を()き、木で造られた───レーウェンエルダ皇国では見たことがない様式の小さな家々。飛び交う赤トンボ。

 妹の帯に挿し込まれた、カラカラと乾いた音を立てて回る───赤い風車。

 土間に設けられた台所で───忙しなく夕餉の支度をしている、白いほっかむりをした母。

(ああ…、これは───最後の情景だ。平和だった頃の───)

 レナスは、この後、父母や弟妹たちが───いや、この村がどうなるか知っていた。

 思い出したくなかった────でも、思い出してしまった。

 ()()()()()()稲に絶望し────度重なる地震に恐れ慄き────土砂に圧し潰されて帰るべき家を失い────なすすべもなく、手足を投げ出して道端に倒れ伏す人々……

 次々と過っていく、生まれ育った故郷の崩れ落ちた景色と───親しい人たちの変わり果てた姿────

(そうだ───そして…、“巫女”が───神を鎮めるために、あの“儀式”を行った…)

 レナスは、“巫女”を───ひいては“神具”を守護する者の一人として、“儀式”に参加した。

 “神の住まう場所”を再現して───夜闇に沈む時分、山の中腹に存在する“神域”で、ひっそりと行われた“儀式”。

 “御神刀”を手に静かに舞う、レナスが護るべき───かつては美しかったであろう年老いた白髪の“巫女”。

(オレは────あの“儀式”で命を落とした────)

 これらはかつて生きた自分の───“前世の記憶”だと思い至る。レナスは、いつの間にか閉じて
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