暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#4
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「解りました。必ず無事に戻ると────お約束いたします」

 カデアは私の言葉が嬉しかったのか───笑ってそう宣言した後、一礼して、【転移門(ゲート)】へと向かった。

「レド様───ありがとうございます」
「ついでだから、気にしなくていい」

 レド様の口調はぶっきらぼうで────確かに教会の様子を探らせるべきではあるので、本当についでなのかもしれないけれど────それでも、私は嬉しかった。


※※※


「ここは────まるで、鉱山の坑道みたいですね」
「ああ…」

 ディンドの唖然として呟かれた言葉に───ルガレドは、鉱山の坑道など見たこともなかったが、呆気にとられるあまり反射的に頷いた。

 ディルカリド伯爵たちが、拠点として利用して───潜んでいる区画から、現段階で最寄りとなる【転移門(ゲート)】に跳んだルガレドたちは、一瞬前までいた【管制室(コントロール・ルーム)】とのあまりの落差に愕然となった。

 少し狭い空間であるそこは、土壁に落盤を防ぐため継接(つぎは)ぎに張り巡らされた坑木がいかにも拙く見え───頼りなく感じる。

 事前にリゼラの力を借りて調べた限りでは、この坑道は、ディルカリド伯爵の拠点まで続いているはずだった。

 この空間は、おそらくディルカリダ側妃によって整えられたのだろう。

 この状態を見るに───リゼラの推測通り、知識はあっても古代魔術帝国の技術を復元することはできなかったに違いない。

「…崩れやしませんかね、ここ」

 心配そうに───そう零したのは、意外にもヴァルトだ。

「まあ───確かに、いつ崩れてもおかしくなさそうだ」

 ルガレドは───いつものように、リゼラに相談しようと傍らに眼を遣って───彼女は今、自分の傍にいないのだと思い出した。

 リゼラは、この地下施設の【最新化(アップデート)】のため【管制室(コントロール・ルーム)】を離れられない。

 ルガレドは、リゼラの護衛を任せたジグ以外の仲間を伴い───【最新化(アップデート)】による地下施設の修復が間に合わなかった場合に備えて、いつでもディルカリド伯爵の拠点に突入できるよう、その入り口付近で待機するべく、一足先に向かっていた。

 リゼラは、その区画の【最新化(アップデート)】が済み次第、後をノルンに任せて、こちらへと合流する予定だ。

(仕方がないとはいえ、リゼの傍にいられないのは苦痛だな…)

 早く合流したい────そんなことを思いながら振り向くと、ルガレドの心中を察したらしい仲間たちが、何だか生温かい眼でこちらを見ていた。
 ラムルとヴァルトに至っては、ニマニマとしか言いようがない笑みを浮かべている。

「それで、坊ちゃま─
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ