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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#7
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く、ジェスレムも、あの侍従や侍女たちも、それを信じて───突然、ファミラに対して冷たくなったのだ。
 そうでなければ────この自分がこんな仕打ちを受けるわけがない。

 ファミラは、先程より強く────ぎり、と唇を噛む。

(何て───何て性悪なの…!お母様の言う通りだったわ…!)


 自分の神託が良いものでなかったことに拗ねたリゼラが部屋に引き籠ってから、初めてお茶会に参加したときのことだった。

 とある夫人にリゼラがいない理由を訊かれて───母は何故か嬉しそうに微笑んだ。

『あの子は、この間、6歳になりましたの。そのため、神託を受けさせたのですけれど────その神託が気に入らなかったようで、拗ねておりますのよ。今日もお茶会には出たくないと駄々を捏ねまして。あまりにも暴れて手が付けられないものですから、置いて来たんですの』

 母の答えに、ファミラはびっくりした。リゼラがお茶会に行きたくないと駄々を捏ね、暴れたなど────そんな事実はなかったからだ。

 そもそも、リゼラは部屋から出て来てすらいなかった。

『ねえ、お母様。さっきはどうして、あんな嘘を言ったの?』

 イルノラド公爵邸に帰りついてから、ファミラがそう訊ねると、母は真面目な表情でファミラにこう言い聞かせた。

『あの子は…、アレは───出来損ないで無能なの。きっと嘘を吐くようになるわ。才能がある貴女を妬んで、貴女やわたくしを悪者に仕立て上げようとするはずよ。そのときアレの嘘を皆が信じてしまわないように、先にアレが我が儘で傲慢で嘘を吐くような人間であることを、皆に広めておかなければならないの。
いい?これは、貴女がアレに貶められることがないようにするためなの。だから、貴女も、皆がアレに騙されないように────アレが我が儘で傲慢で嘘吐きであることを、皆に教えてあげるのよ?』

 大好きな母が、妹よりもファミラを優先して────自分のためを思ってやったのだと知って、ファミラは嬉しくなった。

 嘘を吐いているのはリゼラではなく母の方であると────まだ幼い子供だったファミラは思い至らずに、ただ母の言い分を鵜呑みにしてしまった。

 そうして、ファミラも、リゼラの真の姿を広めなければならないと───お茶会や夜会で、リゼラは我が儘で傲慢であると言い触れ回るようになったのだった。

 最初は自衛手段であるはずだったその行為が、ファミラに愉悦をもたらすようになるのに、そう時間はかからなかった。

『まあ…、何て我が儘な子なのでしょう』
『ファミラ様も大変ですわね、そのような妹をお持ちになられて』

 皆がファミラの話に同調してくれて────同情の眼差しと言葉を寄せられるのが、心地良かった。

 まるで、物語に出てくる薄幸の
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