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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#5
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記憶を持っていたということか?」
「はい、おそらくは…」

 反射的に答えてから、顔を上げて────向かいに座るレド様を認識して、我に返る。

 あれ───何でレド様がいるの?

 見回すと、いるのはレド様だけではなかった。ラムル、カデア、ラナ姉さん、アーシャ、セレナさん、ハルド───そしてエデルまでが、座る私とノルン、そしてレド様を囲っている。

 皆一様に、困ったような表情を浮かべていた。

「ええっと…、何故、皆さんお揃いで…?」
「まず、アーシャだ」

 レド様が、あの眼が笑っていない笑顔を浮かべ、口を開いた。

「夕飯の支度ができたので、カデアに頼まれたアーシャが、リゼを呼びに行った。だが、リゼは呼びかけても揺すっても、反応せず───困り果てたアーシャは、カデアに相談した。今度は、ラナとセレナが呼びに行ったが、やはりリゼは反応しない。カデア、ラムル、ハルド、エデル、誰が行っても駄目で────最後に俺に回って来たというわけだ」

「………ノルン、今、何時?」
「午後7時12分です、(マスター)リゼラ」

 嘘でしょう…。


◇◇◇


「リゼは根を詰め過ぎる」

 おじ様との面会の約束が午後8時だったので、急いで夕食をいただいた後───姿をくらませたジグとレナスを伴い、レド様と共に、おじ様の執務室へと向かっていた。

 レド様は未だに大変ご立腹のようだ…。

「う…、すみません…」

 いや、だって───自分でも、あんなに集中してしまうとは思わなかったんです…。

「リゼには、補佐をする者が必要だな。誰がいいか…」
「補佐───ですか?」
「ああ。共に作業する者がいて、その者のことを気遣う必要があれば、リゼは無茶できないはずだ」

 確かに、そういう状況なら、休憩をとろうとか考えるかもしれない…。

「リゼの補佐ができそうなのは…、ラムル、ディンド、セレナ辺りだが───リゼ専属となると…、セレナか。だが、セレナだけでは補えないかもしれないな…。そうすると───エデルだな。あまり気が進まないが…、仕方がない」

 レド様は、眉を寄せて溜息を()く。本当に申し訳ありません…。



「ロウェルダ公爵、忙しいところ、時間をとってもらって申し訳ない」
「いいえ、ご足労いただき恐縮です」

 執務の後ということもあって、出迎えてくれたおじ様もロヴァルさんも少々疲れ気味なのが見て取れる。

「お疲れ様です、おじ様、ロヴァルさん。時間をとってくれて、ありがとうございます」
「気にしないでいいんだよ、リゼ。何か、急ぎの用件なんだろう?」

 おじ様の言葉に、私は頷いた。

 執務室の一角に設えられた応接スペースのソファに座ると────私は
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