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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#3
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質が影響して、変質を来たす。そういった固有の成長を遂げた精霊や精霊獣のことを────“妖精”と呼ぶ」
「それじゃ…、ネロはその“妖精”に成ったということ?」
「ああ。ネロは、幼くして姫と契約し、長いこと姫の魔力を摂取していた。おそらく、それで“妖精”へと成ったのだろう。────っく、羨ましい…」

 ヴァイスは、ネロが“妖精”と成ったことが羨ましいらしい。精霊や精霊獣には、“妖精”に成ることに憧れでもあるのかな。


「それなら、ノルンも“妖精”ということなるのか?」
「そうだ」

 レド様に訊かれ、ヴァイスは頷く。

 ノルンはかなり特殊な存在だろうとは思っていたけど────へえ、“妖精”なんだ。


「それで───ネロ。地下空間に行けるって言っていたけど、ヴァイスも一緒に連れて行くことはできる?」
「うん、できるよ」

 向かうのは、おそらく古代魔術帝国の遺跡だ。

 入り込むことはできたとしても、侵入者を排除するようなセキュリティーが内部にも施されている可能性が高い。

 ネロだけでは心配なので、ヴァイスにもネロと共に行ってもらいたい。


 本当は、私が一緒に行きたいところだけど、そうすると───きっと、私一人では行かせてくれない。絶対、レド様も共に行くと言い出すはずだ。

 極力、レド様の希望通りにしようとは決めている。

 けれど────今回は古代魔術帝国の技術が施された施設だ。何があるか判らないのに、レド様を連れて行くわけにはいかない。

「魔獣とか魔物の群れくらいならどうにかできるけど────古代魔術帝国の技術だからなぁ…」

 今私が持つ手札は、大半が古代魔術帝国の遺産によってもたらされたものだ。対抗できない可能性もある。


「…リゼ?」

 あれこれ考え込んでいると、レド様に名を呼ばれた。何故だか───その声音は底冷えしそうに低い。

 狼狽える私に、ジグがその理由を教えてくれる。

「リゼラ様、考えていることが声に出てましたよ」
「えっ」

 嘘───またやってしまった?

 レド様の方を、そろりと窺う。ああ、漂う空気が冷たい…。

「まさか…、一人で行くつもりではないだろうな───リゼ」
「いえっ、まずはネロとヴァイスに探って来てもらうつもりですっ」

 私は、慌てて首を横に振る。やっぱり、私は行かない方が良さそうだ。

 でも───ネロとヴァイスだけで大丈夫だろうか。古代魔術帝国のセキュリティーを掻い潜れても、解除はできないだろうし…。


「…ノルン、ネロとヴァイスと一緒に行ってくれる?」

 ノルンなら解除できるかもしれないと思って、そう訊ねると────ノルンは、嬉しそうに破顔した。

「はい、勿論です──
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