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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#3
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の子も呼んでるから、その子が来てから話すね」
「わかった」

 この皇城には“防壁”のようなものが張られているので、力のある精霊獣であるヴァイスと言えど、すんなりとは入って来られないのかもしれない。

「精霊獣を使うのか?」
「ええ。できるか確かめてみないと判らないですけど、この皇城に入り込める精霊獣なら、古代魔術帝国のセキュリティーを越えられるかもしれないと思いまして」
「なるほど」

 レド様とそんなことを話していると、ヴァイスが忽然と現れた。

「すまない、我が姫。お待たせした」
「ううん。来てくれてありがとう、ヴァイス」

 律儀なヴァイスに、私は首を振る。


「…む?────お前、ネロか?」
「ひさしぶり、白狼のおじいちゃん」

 ヴァイスが、私の足元にいるネロに気づいて声をかけると、ネロが暢気な声音で返す。

 え、ネロはヴァイスのこと、おじいちゃんって呼んでるの?

 まあ、ネロは、生まれてからそんなに経っていないらしいし、ヴァイスはかなりの時を経た精霊獣みたいだから────ネロからしてみたら、そんな感覚になるのかもしれない。

「我も、姫よりヴァイスという名を授かった。これからは、ヴァイスと呼べ」

 ヴァイスは、ちょっと誇らしげにネロに告げる。

「あ、リゼに契約してもらえたんだ。よかったね〜、ボクがリゼに名前をもらったって知ったとき、ものすごく、うらやましがってたもんね」

 え───そうなの?

 私が思わずヴァイスの方を見ると、ヴァイスは何だか決まり悪そうに顔を逸らした。


「それでは────我が姫。我らを何故呼んだのか、聞かせてもらえるか」

 ヴァイスに問われ、私は、この下に存在するだろう地下空間のこと───可能なら、そこへ行ってもらいたいことを話す。

「この変なのの下にある部屋に行ってくればいいの?」
「うん。ネロ、行ける?」
「もちろん!」

 ネロは可愛らしく首を傾げて、事も無げに応える。その返事に、レド様たちのみならず、ヴァイスまで驚いた様子を見せた。

「待て────我は、そんなもの感じ取れないぞ。ネロ、本当にこの下に部屋などあるのか?」
「あれ、ヴァイスはわからないの?ちゃんとあるよ、部屋」

 あれ、そうなの?

 ヴァイスでも感じ取れないのに、ネロには感じ取れたということは───ネロは、他の精霊獣より感覚が鋭いということ?

 ヴァイスが、ネロをじっと観察するように見つめながら、呟く。

「…やはり、そうか───ネロ、お前…、“妖精化”しているな」

「“妖精化”…?」

 私が聞き返すと、ヴァイスは私に顔を向ける。

「人間と契約をした精霊や精霊獣に、稀に起こる現象だ。契約した人間の性
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