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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#3
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当たりがあります。それは…、おそらく偃月騎士団の現団長ウォレム=アン・ガラマゼラです」

「ガラマゼラ伯爵か…」

 私にも、その名は聞き覚えがある。

 偃月騎士団団長だからというだけでなく────イルノラド公爵の友人であり…、イルノラド公女と私を皇子たちの親衛騎士にすることを提案した人物だからだ。


「ガラマゼラ伯爵には弟がいたのか?聞いたことがないが────」

 レド様が、訝し気に首を傾げる。

「旦那様に聞き覚えがないのは、当然のことでございます。ガラマゼラ伯爵の弟御は、旦那様が生まれる前に亡くなられておりますから」
「亡くなっている…?」

「ええ。ガラマゼラ伯爵の弟御は────亡くなったジェミナ皇妃の親衛騎士なのです」

 ジェミナ皇妃の親衛騎士は亡くなっていたの…?

 私は、ジェミナ皇妃と唯一接近したあの夜会のときを思い返す。

 あのとき───ジェミナ皇妃のことばかりに目が行っていたが───確か、騎士が一人傍に侍っていたはずだ。

 今思えば────随分、若く見えた。ジェミナ皇妃が皇王に嫁いだのは、前皇妃様が亡くなってから───レド様が生まれる前と聞いている。

 そう考えると、確かに年齢が合わない。あの青年は、親衛騎士ではなかったからか。

「ガラマゼラ伯爵の弟御は────ガラマゼラ伯爵とは違い、剣の腕は振るわないものの…、線の細い美男子として、ご令嬢の間では人気を誇っておいででした。25年…、いえ、もう26年前になりますか。輿入れに伴い、ジェミナ皇妃につけられる親衛騎士には別の者が決まっていたにも関わらず───ジェミナ皇妃が我が儘を言って、ガラマゼラ伯爵の弟御に替えさせたのです」

「皇妃の親衛騎士は────何故、亡くなったんだ?」

 ラムルは、ちょっと私を気遣うように眼を向けてから────続ける。

「当時、ジェミナ皇妃は───まだ、15歳になったばかりでした。対する皇王陛下は、30代に入っておりました。初夜を迎えたとき───ジェミナは宣ったそうです。『こんな年を取った男に処女を捧げるのは嫌だ』───と」

 …まあ、同じ女としては────その点に関しては、ジェミナ皇妃に同情しなくもない。おそらく、先代ベイラリオ侯爵の意向で嫁いだのだろうから。

 だけど────話の続きを聴いて、そんな同情は跡形もなく消える。

「皇王陛下はお怒りになり、寝室から出て行かれました。皇王陛下にとっても望まない結婚でしたから、当然です。ジェミナ皇妃は────皇王陛下が出て行かれた後、自分の親衛騎士を寝室に連れ込み、翌日、“処女の証”を提示して────皇王陛下とジェミナ皇妃の婚姻は成立したということです」

「……そんな馬鹿なことが────ありえるのか?」

 レ
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