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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#3
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───

 白炎様のちょっと拗ねたような口調に、私に逢えないことを残念がってくれていることが覗えて、私は申し訳なく思いながらも嬉しくなった。

 雑木林の手入れもしておかないといけないから、近いうちに改めて孤児院に行くことにしよう。

 それにしても────これで、白炎様と離れていても連絡を取れると確認できた。何かあったら、白炎様と連絡がとれるのは心強い。



 ダイニングルームに戻ると、何だか、気まずい雰囲気が漂っていた。
 ついさっき初めて会ったばかりの二人を残していったのは、ちょっとまずかったかな。

「すみません、お待たせいたしました。それでは───孤児院に向かいましょうか」

 ラムルには、すでに連絡済みだ。

「…ああ。では行こうか」

 ダイニングルームを出て、エントランスホールに設置した【移動門(ゲート)】へと向かう。

 レムトさんには、詳細は語らず、私たちが幾つかの魔術を行使できることを匂わせてある。魔術に明るくないレムトさんは、レド様の皇子という身分と結び付けて、ただ魔術陣を幾つも所持していると思っているようだ。


 孤児院の北棟に跳ぶと───ラムルが出迎えてくれた。

 白炎様には来ないようにこちらからお願いしたのに、白炎様がいつものように飛んで来ないのは、ちょっと寂しい。

「ラムル、忙しいところ悪いな」
「いえ。それで────そちらが、匿うことになったという…?」
「ああ、ウォイドのところの俳優らしい。レムトという。────レムト、執事のラムルだ」
「レムトといいます。お世話をかけます」

 ラムルは、レムトさんに一礼する。

 ラムルには、男性を一人匿うことになったとしか話していない。詳しい事情は直接話した方が良いだろうと思ったからだ。

「リゼ、まだ時間はあるな?」
「はい、大丈夫です」
「では、ちょっと狭いが、そちらの部屋で話すか」

 一番近い個室を指して、レド様が提案する。
 皆が頷き、ラムルが扉を開けて────まず私が中へ踏み入った。

 私は中を念のため見回して確認してから、奥のカウンターデスクのチェアの向きを変えると、続いて入って来たレド様を誘導する。

「どうぞ、レド様」
「ありがとう、リゼ」

 レド様がイスに腰を掛けた。レムトさんも中に踏み込み、ラムルが最後に入って来て扉を閉めた。

 そして、早速、レド様が説明のために口を開いた────



「なるほど…。話は解りました」
「ラムル、頼んでいる件と併せて、そちらも調べてくれるか?」
「伯爵位を持つ騎士で、19年前の時点で弟が皇妃に被害を被っている人物───ですね?」

 ラムルは、心持ち目を伏せた。

「調べるまでもなく────心
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