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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#2
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事!?」

 ベルネオさんの商館に、レムトさんを連れて跳ぶと────すでにエルが到着していた。

 エルには、アーシャにあげたものと同じブレスウォッチに、設置済みの【移動門(ゲート)】へと跳ぶことができるオリジナル魔術【往還】を追加したものを渡してあるので────きっと、それで来たのだろう。

 エルは私に話を聴いてとても心配していたらしく、レムトさんに駆け寄った。

「ええ、間一髪のところを、リゼさんに助けられました」

「リゼ、レムトを助けてくれて────本当にありがとう」
「ううん。助けられて良かったよ」

 眼を潤ませているエルに、私は首を横に振った。
 レムトさんを助けられて────本当に良かった。


「それで────レムトが危ないって…、どういうことなの?」

 エルだけでなく、レムトさん、ベルネオさんも表情を引き締める。

 私は、まずエルとベルネオさんに経緯を話した。

「レムトさんが殺されそうになったのは────おそらく、貴族街に程近いあの場所で、そのゾアブラという男を目撃してしまったからです。再会したのが、商店街や平民街だったら、きっと挨拶をしただけで終わったのではないかと思います」

「確かに、あのエリアにゾアブラがいるのは不自然だとは思いますが───私を殺すほどのことですか?」

 レムトさんは、どうしても腑に落ちないらしく、唸るような声音で訊く。

「ゾアブラは、これから訪ねる貴族との繋がりを知られたくなかったんでしょう。それに────レムトさんには自分の過去を知られている。これから起こすつもりの事件と、関連付けられることを恐れたのだと思います」

「「これから起こすつもりの事件?」」

 異口同音に聞き返したのは、エルとレムトさんだ。ベルネオさんは、ただ訝し気に眉を寄せている。

「その話をする前に────レムトさん、一つだけ確認させてもらってもいいですか?」
「何ですか?」

「ゾアブラは、自分の息子の死を────どうやって知ったのですか?」

「え?」
「ゾアブラでは、皇城に入ることはおろか────皇宮に問い合わせることすらできなかったはずですよね?」

 皇妃一派が、ご丁寧に訃報を知らせてくれるとは思えない。

「ああ…、確か────息子を呼び出して欲しいと皇城の門番に掛け合っていたら、通りかかった親切な騎士が調べてくれたと、当時話していました」

「わざわざ────調べてくれたんですか?」
「ええ。何でもその騎士も、弟が同じような目に遭ったとかで────同情してくれたみたいですよ」

「…ゾアブラの息子さんの死因は?」
「それが…、死んだという事実しか判らなかったそうです」

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