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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#7
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殿下───お時間を割いていただき、ありがとうございました」

 塔を降りたところで、ファルロがレド様に頭を深く下げた。

「リゼが望んだから、許しただけだ」

 レド様は、ちょっと面白くなさそうな表情で、言葉を返す。

 ファルロは、レド様から私に視線を移した。

「リゼ───っすまない。ファルリエム子爵」

 そうだった。幼い頃は…、この人は────イルノラド公女のことはファムと、私のことはリゼと呼んでいた。そして、私は────

「…リゼでいいですよ。────ファルお兄様」

 何だか照れくさくて視線を外して言うと────ファルお兄様が笑った気配がした。

「リゼ…、今日は本当にありがとう」
「いいえ、こちらこそ」

 ファルお兄様はまた私に笑みを向けてから、レド様に視線を戻した。

「ルガレド殿下…、リゼを────妹を頼みます」
「お前に言われるまでもない」

 憮然として答えるレド様に、ファルお兄様は何度目かの嬉しそうな笑顔を見せた。



 北門に詰める兵士が戻って来るのを待つという二人を残して、私たちはお邸へと帰る。

 人通りがない場所まで歩き、そこで【認識妨害(ジャミング)】を発動させて、オリジナル魔術で直接お邸に跳んだ。

「お帰りなさいませ、旦那様、リゼラ様」
「お帰りなさいませ」

 私たちの帰還に気づいたラムルとハルドに出迎えられる。

 カデアは、すでに夕食の支度に取り掛かっているようだ。アーシャとラナ姉さん、セレナさんが手伝ってくれているという。

 ハルドはラムルに侍従としての仕事を習っているみたいだし、ヴァルトさんはディンド卿を誘って調練場で手合わせをしているらしい。

 先程の魔獣について皆で話し合いたいところだが、後の方がいいだろう。夕食まで時間が空いてしまった。

「私たちはどうしましょうか、レド様」
「今日は色々あったし、少し休まないか?」
「そうですね。何処に行きましょうか」
「サンルームにでも行こうか」
「いいですね」

 勿論、レド様の言うサンルームとは、レド様のお邸のあのサンルームだ。

 嬉しいことに───“拠点スペース”に収めた拠点は、外に出さなくても、利用することができるのだ。

 レド様のお邸は元々、窓は外に繋がっていないし、籠ることを前提で造られているので───“拠点スペース”に収めたままでも、利用するのに何ら問題はない。

「しかし────リゼはお人好しだな。あんな簡単に許してしまって良かったのか?」

 いつものソファに向かいながら───レド様はちょっと憮然とした様子で呟いた。

「そんな簡単に許したわけではないですよ。それに───ファルお兄様には、色々言われたりしたけれど─
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