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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#4
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ダ皇国の国章が彫り込まれている。

 あれは…、この国の───騎士だ。

 何故、騎士がここに────そんな疑問に呑まれそうになるが、今はそれどころではない。

≪今は考えても仕方がない。行くぞ、リゼ≫
≪はい、レド様≫
≪ジグ、レナス、何かあったら援護を頼む≫
≪はっ≫
≪御意≫

 馬車数台の傍に商人らしき集団が群がり、それを囲うように護衛らしき集団が陣取っている。護衛らしき者たちの中には、見るからにケガをしている者が何人か混じっていた。

 今───最前線に立って、3頭の魔獣を相手取っているのは、騎士たちだ。

 騎士は、人数的に一個小隊で───全員、馬から下りた状態で戦っていた。6人の盾役が魔獣化したブラッディベアを抑えているが、2頭の魔獣化したオーガに邪魔をされて、攻撃ができていない。

 それどころか───攻撃役であるはずの騎士たちは、ブラッディベアを抑える盾役にオーガ2頭を近づけないよう、剣や戦斧で抑えるので手一杯のようで────膠着状態に陥っている。

≪どうしますか、レド様≫

 魔獣の討伐で───しかも騎士との共闘なら、レド様に指示を仰ぐ方がいいだろう。

≪騎士が抑えているうちに、1頭ずつ屠る。あのオーガを抑えている騎士たちが一番危うい。リゼは、あのオーガを。俺は、あのブラッディベアをやる≫
≪解りました≫

 レド様はブラッディベアに───私はオーガの1頭に向かって奔り出す。

 2頭のオーガは、巨大化した上で、上半身が下半身に比べ異様に発達している。前世でいう“逆三角形”の体形だ。頭が不自然なほど大きく、毛に覆われた胸板は下半身の2倍以上はありそうだ。

 さて、どうするかな。

 弓でも取り寄せたいところだけど───商人たちとその護衛たちが、近づくレド様と私に気づいたらしく、こちらに目を向けている人もいるから、下手なことはできない。ここは────魔法を使うことにしよう。

 目的のオーガに、ある程度まで近づくと────私は、立ち止まって跪き、両手を突いた。地中の魔素を操って土を隆起させ、オーガへと向かわせる。

 瞬く間に隆起した土は、まるで蛇が鎌首を擡げるようにオーガに迫っていく。オーガに届く寸前、私は固定魔法【結界】を応用して、地中の魔素を結合させた。硬くなった土は、オーガを突き飛ばす。

 応対していた騎士たちが、驚愕のあまり一瞬動きを止めたのが見えた。

 私は再び奔り出して────自分で造り上げた土の道を駆け上がって跳び、飛ばされたオーガを追う。

「!?」

 突然、もう1頭のオーガが、相対する騎士たちから離れ、私の行く先を塞ぐように身を乗り出してきた。

 他の魔獣を庇うような────そのあり得ない行動に、私は虚を衝かれる。
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