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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十二章―明かされる因縁―#1
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とき、この【魔力炉(マナ・リアクター)】の存在には気づかなかったの?」
「はい、(マスター)リゼラ。この初期型は───魔術核は身体を形作る核に埋め込まれ、魔術式は魂魄に直接インストールされています。私たち【案内(ガイダンス)】には初期型のことは念頭になく、契約時、体内に【魔力炉(マナ・リアクター)】がインプラントされていないか確認するだけなのです」

 それで───ノルンでさえも、気づかなかったのか…。

 【魔力炉(マナ・リアクター)】は、魔力───体内に潜在する魔素を集めて純粋な塊を捻出して、【魔術駆動核(マギ・エンジン)】へと送り込む装置だ。

 これがないのとあるのとでは、魔術の発動速度も、魔術行使に使用できる魔力量も違ってくる。

 道理で、セレナさんの固有魔力量が人並み外れているわけだ。体質的にも内包する魔素の量が多いのだろうけど、【魔力炉(マナ・リアクター)】の存在は大きい。

 セレナさんを落ち零れ呼ばわりしていたという父親や兄弟たちも、先天的に【魔力炉(マナ・リアクター)】を持っていたのだろう。


「あの…、一体…?」

 セレナさんが、不安げに口を挟む。
 私がそれに答えようとしたとき────

「リゼ?何かあったのか?」

 レド様に問いかけられた。

 私たちの様子に気づいたらしいレド様が、いつの間にか近寄ってきていた。レド様だけでなく、他の皆も───ラムルとカデアもいるようだ。

 皆に解るように────【魔力炉(マナ・リアクター)】がどういうものなのかと、セレナさんの状況を説明すると────レド様は少し考え込んだ後、セレナさんに向かって口を開いた。

「セレナ────出身は、ディルカリド伯爵家だったな?」
「は、はい」

 ディルカリド伯爵家────レーウェンエルダ皇国の前身であるエルダニア王国時代から続く古い家柄で、武門が大多数を占めるレーウェンエルダでは珍しく、魔術で身代を築いた名門だ。

「家には、何か────伝わっていなかったのか?」
「…ディルカリド家は、エルダニア王国時代に勃興した、としか。ただ───私には伝えられていなかっただけの可能性もあります」

「ヴァルトやハルドは、何も聞いていないか?」
「ワシも、お嬢と同じようにしか聞いていませんね。エルダニア王国時代、並外れた魔力量によって、のし上がったらしいですよ」
「オレも───同じです」
「そうか…」

 レド様は呟くようにそう応えると、ノルンに顔を向ける。

「ノルン、その初期型の【魔力炉(マナ・リアクター)】とやらは、大丈夫なのか?廃れたからには、相応の理由があるのだろう?」
配下(アンダラー)セレナの身体に害をなす心配はありません。ですが、うまく遺
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