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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十一章―ファルリエムの忘れ形見―#3
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「何と言うか────鮮やか過ぎる花のような子だったな…」
エルがウォイドさんと共に、現在借り受けている劇場へと戻った後───レド様がしみじみと呟いた。
言い得て妙な表現だ。
確かに────女優であるエルは、目を遣らずにはいられない存在感がある。ああいうのを、“華がある”というのだろう。
「それにしても…、リゼが、ベルネオはともかく────エルと知り合いだったことは驚いた」
レド様の言葉に、私は苦笑いを零す。
まあ───私もこの場にエルが現れたことには驚きましたが…。
「ところで───ラムル。私とエルが友人だということを知っていたのに…、どうして、このことを教えてくれなかったんですか?」
ラムルには、馬の件で、ウォイド劇団を訪問してもらっている。
レド様の親衛騎士となる直前に逢いに行ったきりだったので、まだ馬を必要としているかの確認と、必要なら払い下げる旨を知らせるために、行ってもらったのだ。
頼んだとき、私とエル───ウォイド劇団との関係を話してあった。
「それは────偶には、リゼラ様を驚かせたかったからですよ。いつも、リゼラ様には驚かされてばかりですからね」
ラムルは、悪びれもなく、涼しい顔で言う。
この表情────しれっと悪態をつくジグにそっくりだ。
やっぱり親子なんだな────と、妙に感心してしまった。
「そんなに、驚かせたことありましたっけ…?」
私は首を傾げる。
ラムルが驚くようなこと────そんなにあったかな?
白炎様のことくらいだと思うけど。
すると───何故か、レド様やラムル、レナスが、ちょっと呆れたような表情になった。ジグも呆れているような気配を醸している。
「リゼ…、本気で言っているのか?」
え、本気ですけども…。
「そ、そんなことより、代わりのお邸となる物件を案内してもらいましょう!────ベルネオさん、お願いします!」
何となく話題を変えた方がいいような気がして、ベルネオさんに話を振る。
ベルネオさんは、少し困ったように笑いを浮かべながらも、乗ってくれた。
「…そうですね。時間も有限ですし、参りましょうか。実は───今回ご紹介する物件は、この2軒先にある空き家なんです。
とある豪商が羽振りの良いときに建てたもので、店舗としてではなく───皇都に滞在する際に寝泊まりするために使っていたようです。妻や使用人を引き連れて上京していたらしく、部屋数も多くとられているので、ご希望に添えると思います。
かなり年季が入っており、修復など一切されていない状態ですので、金額も相応に低価格となっております。突然なくなっても、撤去したものと思ってもらえるはずです」
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