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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十章―見極めるべきもの―sideガレス
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そのせいで、リゼラは自分の実力が突出し過ぎていることを、理解していない節がある。
現在、Sランカーはリゼラを除いて3人いるが────リゼラの実力はその中でも群を抜く。
「その上、上物の恋人までいてさ、出来過ぎよね」
「単独で魔獣を討伐し、小さいとはいえ集落を潰したという新人でしたよね」
「アレドっていったっけか。それで、顔もいいとか───どんだけ持ってんだって話だよな」
「え、そうなんですか」
「ああ。我らが“孤高の戦女神”を落とすだけはあった」
ガレスが考え事をしている間に、リゼラからアレドに話は移り変わっていた。
「この間、ギルドの中でいちゃついてたらしいわよ。セラが呪詛を吐いてた」
「あ───それ、オレ見た。あの二人、もしかして同棲してんのかな。夕飯作る前にお茶しようって話しててさ」
「そりゃ、セラが呪詛を吐くわけだ」
「だけど、アレドっていいところのお坊ちゃんぽくない?同棲なんてできるの?」
「それじゃ、自分の邸に住まわせてるんじゃないか?」
(実は、アレドがこの国の皇子で───リゼを皇城内にある自分の皇子邸に住まわせてるって知ったら驚くだろうな、こいつら)
これまでルガレドが参加した遠征で共闘した冒険者は、遠征先を拠点とする連中ばかりなので、アレドがルガレド皇子だということは、今の時点では誰も知らない。
「でも────お似合いよね、あの二人」
レナが、ぽつりと呟く。
「そうなんだよなぁ」
「どちらも雲の上過ぎて、嫉妬すら湧かない」
他の面々も、しみじみとした態で肯いた。
「リゼさんって、どっかの令嬢なのに冷遇されてて、冒険者として身を立ててるんだろ?」
「らしいな」
「食事すら与えてもらえなくて、小さい頃から街に下りて食い扶持を稼いでたんでしょ、ギルマス」
「…ああ」
レナに話を振られ、ガレスは頷く。
「酷い親もいたもんだな」
ガレスも心の中で同意する。
リゼラが貴族間でどんな風に認識されているか────ガレスは知っていた。
“出来損ない”などと、よく言えたものだ。少しでもリゼラときちんと接していれば────出来損ないどころか優秀であることは判ることなのに。
「アレドさんといるときのリゼさん、幸せそうよね」
「ああ、良かったよな」
レナとドギの言葉に、ガレスは口元を緩めた。
どんな集団にも、性根が腐っている輩は存在する。特に冒険者は、その職業柄もあって、そういう輩が流れてくることが多い。
長い冒険者生活で、そんな連中とも関わることが多々あったガレスは、レナとドギのような───他人の幸せを喜べる者が、このギルドにいてくれることが嬉しかった。
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