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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十章―見極めるべきもの―#3
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せているらしい。

 これなら────レド様の魔力を、ノルンの魂魄に融合させることもできるはず…!

「ノルン、私も手伝うから、頑張って…!」
「はい、(マスター)リゼラ…!」

 ノルンが抱き締める私に、ぎゅっとすがりつく。
 ノルンと二人で、徐々にレド様の魔力をノルンの魂魄に融合させていく。

 ノルンの魂魄すべてに、(むら)なくレド様の魔力が行き渡ったとき────私は叫んだ。

「レド様、魔力を止めてください!」

 レド様は、あれから魔力のコントロールを試みていたらしく───今度は魔力の供給が、ぴたりと止まった。

 ノルンの身体から発せられていた光が一気に強くなり───辺りに迸る。
 傍にいた私はその眩さに、咄嗟に瞼を閉じた。

(マスター)リゼラ…」

 嬉しそうな声音で呼ばれて、私は、そっと瞼を開けた。

 目の前には、あのときと同じ───私と同じ年頃の銀髪の少女が笑みを浮かべて立っていた。

「ありがとうございます、(マスター)リゼラ。これで────貴女たちの傍にいられます」

 銀髪の少女───ノルンはそう言って、私に抱き着く。
 ノルンの喜びに溢れた言動に、私も嬉しくなって笑みを零して────抱き締め返した。

 しばらくして、ノルンは私から身を離すと────レド様へと振り向く。

(マスター)ルガレドもありがとうございます」

 レド様の方へ駆け寄ろうとするノルンの腕を、私は手を伸ばして掴んだ。

「ノルン?もしかして────レド様に抱き着くつもり…?」
「あ、そうでした!」

 ノルンは光を迸らせて、また幼い少女の姿を取る。

(マスター)リゼラ、これならいいでしょう?」
「…まあ、その姿なら」


 ノルンがレド様に抱き着くのを横目に、私は両手で顔を覆う。
 ああ───またやってしまった…。ノルン相手に妬いてどうするの…。

「リゼラ様、気にすることはありませんよ。ルガレド様は、大変喜んでいますから」

 落ち込む私に気づいたレナスが、そう言ってくれる。

「でも───幾らレド様でも、こんな嫉妬深い女は嫌なのでは…」

 レド様が私に甘いのは解っているけど、こんな嫉妬深くては愛想を尽かされるかもしれない…。

「いや、リゼラ様の嫉妬など、可愛いものではないですか。ルガレド様の方がよっぽどですよ」

 あれ?言われてみれば、そんな気もする…。

 白炎様には、まあ、仕方がないとしても────そういえば、ジグやレナスにまで嫉妬していた。

「それに、まったく嫉妬されないというのも、相手にとっては寂しいものですよ。嫉妬するということは、それだけ想ってくれているということでもありますから」
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