暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十章―見極めるべきもの―#2
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
───エルフも精霊獣も、精霊が肉体を持った存在だということはお話ししたと思います。より詳しく言うなら、人間の肉体に精霊が宿って生まれたのが原初エルフで───最初は少数だった彼らが繁殖した結果、生まれたのがエルフという存在です。
ですが、精霊獣は肉体を持った過程がまったく違います。精霊獣は───精霊樹から生まれ落ちます。精霊獣は魂魄の状態で生まれ落ち、魂魄の“潜在記憶”に蓄積された───かつての姿を元にして、魂魄に大量に含まれた魔素を使って今の姿を成しているのです>>>

「“潜在記憶”に蓄積された姿────ヴァイスやこの子たちは…、元は普通の動物だった、ということですか?」

<<<そうです。かつて───この森で生きていた獣たちの魂魄が、死した後、精霊樹へと取り込まれ、同じく取り込まれた魔素と融合し、再び生まれ落ちた存在なのです>>>

「それなら…、今のノルンは、エルフよりも精霊獣に近い存在────ということですね」

 ノルンは、精霊樹から流れ込む豊富な魔素を使って、私という存在の情報を元に実体をとっている。

「ノルンに大量の魔素───魔力を与えれば…、この子たちのように───この森の外でも実体を保てますか?」

<<<ええ。保つことができるでしょう>>>

「そうですか…。私がノルンに魔力を与えるとして────実体を保てるようになるのに、私の固有魔力量だけで足りますか?」

<<<…ノルンが精霊獣のような存在になるのは、リゼラの固有魔力量では、少し足りないでしょう>>>

「少し───ですか…」

 少し足りないということは────共有魔力を使わせてもらえば、できるということだ。

 ただ────心配をかけてしまうことになるかもしれない。レド様に説明してから、実行に移した方がいいかな…。


「…アルデルファルム、訊いてもよろしいですか?リゼラ様の固有魔力では少しだけ足りないということは───ルガレド様の固有魔力なら足りるということでしょうか?」

 珍しいことに───不意にジグが口を挟んだ。

<<<ええ、ルガレドの固有魔力量なら、足りるでしょう>>>

「ありがとうございます、アルデルファルム」

 ジグは答えてくれたアルデルファルムにお礼を言うと────私に向き直って、再び口を開いた。

「リゼラ様、この件はルガレド様に任せてみてはいかがでしょう?ノルンは、ルガレド様とリゼラ様の精霊なのでしょう?リゼラ様が無理をしてまで、一人で抱え込む必要はないと思います」

「でも────レド様にもやることがありますし…」
「いや、どう見ても────ルガレド様よりも、リゼラ様の方がやることを抱えています。一つくらいルガレド様にお任せしてもいいんじゃないですか?リゼラ様が倒れてまで抱
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ