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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十九章―誓いと祝福―#7
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から愛してくれている。それが、ラムルには奇跡であるように思えた。


 縁を引き寄せる強運を持ち───その縁をものにするだけの素質を持ち───その縁を活かすことのできる者。


 これは、ファルリエム辺境伯家門に伝わる女主人に求める最高の条件だ。
 まだ若いベルネオは笑って流したが───ファルリエム辺境伯家では割と重要視されていた。

 いつ、誰が言い出したのかは判らない。だけど───代々伝わってきたことだけは確かだ。

 だが───今日、解ったような気がする。

 これは、ファルリエム一族の始祖ガルファルリエムの伴侶であったという神子────彼女に由来しているのではないだろうか。

 神による加護と“祝福”をその身に受けるという────“神子”。
 “祝福”を与えられた者は、運を引き寄せるという。

 何にせよ───リゼラ以上に、ルガレドと並び立つに相応しい女性はいない───とラムルは思っている。


 確かに、まだまだ状況は前途多難だ。でも、着々と改善してきている。

 何より向上したのは────ルガレドの心境だ。

 ジグとレナスによれば、リゼラが来る前のルガレドは何事にも淡々としていて、何もかも諦めたような風情だったらしい。

 今のルガレドは、本当に毎日楽しそうで───幸せそうだ。


 ルガレドだけではない───楽しそうなのは、ジグとレナスもだ。

 ジグとレナスのルガレドに対する言動は本来なら嗜められるべきものだが、あの三人は、ああやって交流することで、結束を深めているようだ。

 あの三人は、その立場と事情から、幼い時分に子供らしく過ごすことができなかった。

 特にルガレドは───同年代の側近となる友人が宛がわれるはずだったのを皇妃一派に邪魔されたばかりか、同年代の貴族子弟とろくに交流すらできなかったのだ。

 ルガレドには気の置けない支えてくれる存在が必要だし───ジグとレナスも、“影”を構成する組織が壊滅してしまった今、従来通りの“影”である必要はないとラムルは考えていた。

 元々、ファルリエム辺境伯家では、主従の距離が近かったこともある。


 それに───楽しそうで幸せそうなのは、カデアも同じだ。

 ジグはラムルとカデアの息子で、レナスはカデアの年の離れた弟ではあるが、どちらとも、これまで家族として過ごしたことはない。

 ラムルとカデアは、“影”を担うファルリエム辺境伯家の分家筋の出だ。どちらも、当主の“予備”として生まれた。

 この“予備”とは、当主としての予備ではなく───血筋を残す者としての“予備”だ。

 ラムルとカデアにとって、子を産むのは義務だった。
 しかも“予備”である以上、跡取りなどは必要なく、生まれた子
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