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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第十八章―惑いの森―#2
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“デファルの森”から少しずれた位置に描き込んである、小さな森を指す。

「これが、私たちが最初に訪れた森です」
「“帰らずの森”────これが?」
「ええ。これは、近くの村で呼ばれているこの森の名称です。“精霊獣の棲む森”と記さなかったのは、これを描いたとき、この地図の存在を冒険者ギルドに知られていたからです。ここに精霊獣が現存していることは隠しておいた方がいいと思ったので、この地図には情報を書き入れなかったんです」

「リゼの手描きの地図は、デファルの森と帰らずの森は分かれて描かれているが…」
「実は、どちらの森も全容が把握できなかったんです。だから、まず、帰らずの森の方を、ネロに話を聴いて予測で描いて───デファルの森は、帰らずの森と繋がっているとは思えなかったから、繋がらないように憶測で描いたんです」

「周囲が、他の森や山に囲まれているから、外側からも判らなかったわけか」
「はい。まさか…、こんな大きな森だったとは────」

 デファルの森については、精霊獣の棲む森の隣にあるのは偶然に思えなくて───もしかしたら、こっちにも精霊樹でもあるのではないかと疑ってはいた。

「この“デファルの森”という名称…、由来は知っているか?」
「いえ。この名称は周囲の村々に浸透はしているのですが、由来はどの村にも伝わっていません」

 レド様の質問の意図が───何を考えているかが、解った。

「…“アルデルファルム”が、省略されたのでしょうか?」
「その可能性が高いな」

 原初エルフの“結界”を復活させたとして、デファルの森───魔獣を擁する森が消えると、どんな影響が出るだろう。

 人間の観点で考えれば────おそらくメリットしかない。

 時折、森から彷徨い出た魔獣が村や旅商人を襲うことがあり、犠牲者が出てからしか討伐できないので、被害が必ず出てしまうのだ。

 それに、この森の魔獣は強大で、依頼でもない限り冒険者も立ち入ることがなく、誰かの狩場ということもない。

「ヴァイス、この場所───森のあちらの方角に、魔獣が多数生息しているのは知ってた?」
「無論。だが、魔獣どもは、我らが長───アルデルファルム様を恐れ、こちら側へは踏み入ってこないから、関せずにいられたのだ」

「では、魔獣を排除してしまっても、この森には───精霊獣たちには、影響はない?」
「あれらは、結界が消失して入り込んだ異物だ。排除してくれるなら、こちらとしてはありがたい」
「そう…」

 それなら────やはり、“結界”を修復して、張ってしまおう。

「それで、リゼ、どうするつもりなんだ?」
「あの地下空間───“結界の間”を、【拠点(セーフティベース)】に登録したいと考えているのですが…、どうでしょうか
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