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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#7
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「リゼ、俺に仕えてくれることになったアルデルファルムだ。────アルデルファルム、俺の伴侶のリゼラだ」

「…ルガレド様、『伴侶』は気が早過ぎませんか?」
「そうですよ、まだ婚約者でしょう」

 レド様の言葉に、ジグとレナスがすかさず口を挟む。

「…うるさい。ドラゴンに、親衛騎士とか婚約者とか話しても解るわけないだろう」

 拗ねたようなレド様の口調に、私は思わず笑みを零す。

<<<神子…、魔獣化から救ってくださったこと────そして、あの刻印から解き放ってくださったこと、本当に感謝いたします。貴女のおかげで、こうしてまたルガレドの傍にいられます>>>

 アルデルファルムが───魔素と陽光に輝く、大きな金色の双眸を私に向けて───嬉しそうに眼を細める。

 刻印のことを────どうして、あんなものを刻まれていたのか訊ねたかったけれど、喜ぶアルデルファルムに水を差すのは気が引けた。

 それに、私も今はそんなことを話す気力がない。
 また今度───訊くことにしよう。

 私はアルデルファルムの言葉に、首を横に振る。

「いいえ。上手くいって良かったです。それに───私は浄化しただけで、刻印を消したのはそこにいるジグで、治癒したのはレド様ですから」

<<<いや、神子姫、貴女のおかげだ>>>

 白狼の声が響き、そちらに目を向けると、白狼が私に近づいてくるところだった。

 白狼は、傍まで来ると、まるで私に服従するように────(こうべ)を垂れた。

<<<神子姫────我らが長を救ってくれたこと、まことに感謝を申し上げる。我らが長は神竜の御子に仕えることになり、我が“長”を引き継ぐこととなった。我は───我ら精霊獣は、神子姫────貴女に仕えたい>>>

「え?」

 今───何て?
 精霊獣が───私に仕えたい?

<<<貴女に、()()と契約を交わしていただきたい>>>

「ええと───それは…、この森にいるすべての精霊獣と───ということですか…?」

 訊きながら────『まさか、そんなわけないよね』と思う。

 見ると、いつの間にか───白狼の後ろに、精霊獣と思われる動物たちが、集まっている。

 これで全部なら、想定しているよりは少ない───が、多いことには変わりない。

<<<そうだ。皆、貴女と繋がりたいと───貴女に仕えたいと言っている。どうか、我らが主となっていただけないか>>>

 白狼は───精霊獣たちは、期待に満ちた目で私を見つめる。その数多の澄んだ双眸に、私はたじろいだ。

「ガ、【案内(ガイダンス)】───私が、この子たち全員と【契約】を交わす場合、どれくらい魔力を使う?」


了解───精霊獣56頭
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