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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#4
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嫌だな…」
「本当に────リゼラ様が現れたのは、奇跡ですよ」
「ああ、俺もそう思う。お前の言う通り、リゼでなければ────他の誰かでは、【契約】はできなかっただろうからな」

 ルガレドは、溜息を吐く。


 黙ってルガレドとジグの話を聞いていた白炎が、首を傾げた。

<【契約】というのは、“魂魄の契り”のことか?>
「多分、そうだと思うが…」
<お前と我が神子は、番うつもりで“魂魄の契り”を交わしたのではないのか?“魂魄の契り”というのは、番うためのものであろう?>
「……そうなのか?」
<“魂魄の契り”は、ガルファルリエムが自分の神子と番うために────神子の魂魄の位階を上げるために編み上げた術のはずだ。
一体、お前たちはどうやって────何のつもりで契りを交わしたのだ?>

 白炎の言葉に、ルガレドとジグは眼を見開いた。

「あれは────あの【契約魔術】は、主と守護者が誓いを立てるためではなく…、番うためのもので────ガルファルリエムが編み上げた術だということか…?」

 だが、あの【契約】により与えられた能力や魔術、それに支給品のことを考えると────番うためものというのは、違和感がある。

(いや────違う)

 能力はいつ付与されたか不明だが────魔術や魔導機構は、【契約】が成立した後に始動した【支援(サポート)システム】により、もたらされたものだったということを、ルガレドは思い出した。

 それでは────【契約】自体は、ガルファルリエムが編み上げたという“術”が使われているということだろうか。

 だけど、そう考える方が納得がいくのも事実だ。

 叔母であるミレアと、あのロウェルダ公爵家侍女長のマイラでは、【契約】が成立しなかったのも頷ける。同性では成立するはずもない。

「しかし…、それなら、何故────ジェスレムとあの公女では成立しなかったんだ?」
<誰のことかは分からんが、想いを交わしていなかったからだろう?>
「……想いを交わした男女でなければ────成立しないのか…?」
<当たり前だろう。ただ男と女というだけで成立してしまったら、困るだろうが>

 白炎のその言葉の意味するところは、つまり─────

「つまり───ルガレド様だけでなく…、リゼラ様の方も一目惚れだった、と」

 頭の上にふてぶてしい様子の白炎を寝そべらしたジグが、ルガレドの考えを代弁するように呟いた。


◇◇◇


「ジグ…、旦那様が今朝に増して───ご機嫌に見えるのだが…」
「歓喜に沸いているのです」
「リゼラ様のことで───か?」
「それ以外に、あそこまでご機嫌になることがあると思いますか?」
「いや───思わないな…」

<おい、小僧、いつま
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