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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十六章―真実の断片―#1
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、道だったような跡が所々あるんですが────巧妙に隠しているというより、時間が経って森に呑まれたという感じなんです」

 いつものように、地中から魔素を探ったからこそ、気づけたんだけど。多分、私がこの霧に惑わされずに、この山で行動できたのも、そのおかげだ。

「いつものアレで確かめるんですか?」

 レナスの言い回しに────私は、思わず笑みを零す。

 些細なことだけど、ジグともレナスともすっかり馴染んだように思えて、何だか嬉しくなった。

「ええ、いつものアレで確かめます」

 私は答えて、里全体を【解析(アナライズ)】にかけるべく、発動させる。私の足元を起点に、里全体を包む巨大な魔術式が、瞬時に展開した。


(フォレスト)エルフの隠れ里】
 約1600年前に打ち捨てられた(フォレスト)エルフの隠れ里。エルフ独自の【固定魔法】の【結界】が里に張られ、同じく【固定魔法】の【迷走】が周囲に張られている。すべての家に【固定魔法】の【静止】がかけられている。(フォレスト)エルフの寿命は500〜600歳なので、この里に存在する家の持ち主は、もうこの世にいないと思われる。


 ええと────これは、またとんでもない情報が…。

 “エルフ”って────あの“エルフ”?耳の先がとんがってて、不老長寿で、男女問わず美しいっていう────あの?

 エルフは、前世のフィクションのみならず、この世界の伝説でも登場はする。

 だけど───近代は目撃例は一つもなくて、実存は疑われていたんだけど────いたんですね…。

 しかも、独自の魔法まで持っていらっしゃる────と?

「リゼラ様?」
「ああ…、ごめんなさい。ちょっと、またアレな結果だったので…」

 私は、ジグとレナスに、結果を話して聞かせる。

「鳥────じゃなかった…、神の次は────エルフですか…」
「リゼラ様は、何かこう…、引き寄せてしまうんでしょうね」

 遠い目をして言わないでください、二人とも…。

「それにしても、リゼラ様の予想通りでしたね。経年劣化を防ぐ魔法とは…」
「いえ、まさかここまでとは思っていませんでした」

 せいぜい百年くらいだと思ってた…。

「すごい魔法ですよね。1600年経つとは思えない…」

 ジグが、しみじみと呟く。

「1600年前なら、古代魔術帝国が」

 繁栄していた時代ですね────と続けようとして、私は言葉を呑み込んだ。

 古代魔術帝国の版図(はんと)は、正確には判っていない。ただ────この辺りは、確実に古代魔術帝国の領域だったはずだ。

 エルフたちは、何故────この里を捨てたのか────
 そして────どこへ行ってしまったの
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