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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十三章―愚か者たちの戯言―#3
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になったので、元同僚と会うこともなかった。

 初めての給金日には、まったく仕事をしていないことを咎められるかもしれないと不安になったが、結局、何も言われることはなかった。

 ダムナの給金は────金貨1枚。今までの給金の十倍以上の金額だ。

 仕事をきちんとしていないのに、そんな大金をもらうことに、ダムナには何の罪悪感もなかった。

 むしろ、これは理不尽な目に遭わされている自分への慰謝料で、当然、自分にはもらう権利があると思っていた。

 お金に余裕が出来たダムナは、そのうち皇城を出て街で時間を潰すようになり────街で遊び歩くことに味を占めて、皇宮の使用人寮を出ることを決めた。

 街で部屋を借り、登城するのは給金日だけになった。

 恋人もできた。名をザイドといい、整った顔立ちとすらりとした体形の美青年だ。

 ザイドの目当てが金であることを、ダムナは薄々感じ取ってはいたが、それでもよかった。悔しいが、元同僚に言われた通り、ダムナはあまり器量が良くない。金目当てだとしても、ザイドが付き合ってくれるならよかった。

 他の女と浮気しているのも知っていたが、最後にはいつも自分のところに戻ってくることが判っていたので、浮気相手に罵られることがあっても、逆に嘲笑っていた。

(そろそろ、結婚かな…)

 付き合い始めて5年────頃合いだろう。無職のザイドが生活していくには、ダムナから離れられない。きっと、結婚してくれるはずだ。

 家も買った。そこまで大きくはないが、設備も整っていて、立地もいい。しばらく贅沢を我慢した甲斐があった。ここでなら、ザイドと楽しく暮らしていける。

 この楽で贅沢な暮らしが、この先もずっと続いていくのだと────ダムナは信じて疑わなかった。


◇◇◇


「ザイド、昨日はどこに行ってたの?」

 給金日を間近に控えたある日、ザイドが無断外泊した。

 翌日帰って来たザイドに、ダムナは詰め寄る。いつもなら、ここでザイドが突っぱねて喧嘩になるところだが、ザイドはダムナの言葉など聞いていないようだった。

「…ダムナ、明日は給金日だったよな?」
「う、うん。そうだけど」
「頼むっ、給金を前借りしてきてくれ…っ!」
「ど、どういうこと…?」
「オ、オレ、騙されて、借金負っちまったんだ…!それ返せないと、オレは…っ」
「しゃ、借金!?」
「お願いだ、助けてくれ…!」
「ねえ、どういうことなの?」

 ザイドが言うには────昨日、酒場でボードゲームをしていたのだという。それも、ただのゲームではなくお金を賭ける────“賭けゲーム”を。

「それで負けたの!?」
「最初は勝ってたんだよっ!いいカモだったんだ!だけど、だけど───段々、負け
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