暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十章―忠誠―#3
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「許してくれるか…?」
「…許すも何もないです。レド様こそ…、もう怒ってないですか…?」

 不安で声が震えてしまった。次の瞬間────私はレド様に抱き締められていた。

「言っただろう、リゼは悪くないと────怒っているわけがない」
「良かった…」

 私は安堵して────まるで縋りつくように、レド様の背を抱き締め返した。


◇◇◇


「あの…、レド様…。ジグとレナスの食事のことですが────」

 しばらく抱き締め合っていて────ようやく離れた後、私は恐る恐る切り出した。

「二人と食事について話し合いたいのです。立ち会ってくださいますか…?」

 時間をとらせるのは申し訳ないと思ったけれど、こんなことがあった後で、レド様のいないところでジグとレナスに会うのは気が引ける。

 でも、食事は大事なことだ。後回しには出来ない。

「ああ、勿論だ」

 レド様の表情は何だか安心したようなものだったので────私もちょっとほっとする。

「今、話をしてもいいですか?」

 レド様が頷いてくれたので、私は天井に向かって呼びかける。

「ジグ、レナス────話し合いたいことがあるので、出て来てくれますか?」

 すぐに、目の前にジグとレナスが現れる。

「おはようございます、ルガレド様、リゼラ様。昨夕は、ご馳走いただきありがとうございました」
「おはようございます。────昨夕は…、食事の席であのような無礼をしてしまい、大変申し訳ありませんでした」

 まずジグが挨拶と夕飯のお礼を言い、続いてレナスが謝罪を口にする。そういえば、レド様に朝の挨拶をしなかったなと思う。

 レド様は頷くだけにとどめた。話があるのは私なので、私が口を開く。

「おはようございます、ジグ、レナス。朝早くからごめんなさい。話したいのは────二人の食事についてなんです」


 厨房のテーブルに、昨夕のようにレド様と私が並んで座り、向かい側にジグとレナスが並んで座る。

「私は二人の雇用主なのに────食事のこと思い至らなくて、本当にごめんなさい」

「いえ、謝罪していただく必要はございません、リゼラ様」
「そうです。リゼラ様が最初に仰っていた通り、オレたちの存在を気取られないようにするならば、食費を計上するわけにはいきませんから」

「でも────では、以前は…、ファルリエム辺境伯に雇われていたときには、どうしていたのですか?」
「セアラ様やルガレド様の予算で買われた食糧をいただくわけにはいかなかったので、やはり自分たちで調達することになっていました。我々の給金が高めなのは、食費を含んでいるからです」
「きちんと食費もいただいているのですから、オレたちの食事について思い当たらな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ