第二話
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」
「抵抗しないでください。言うことを聞いていただければ危害は加えません」
「……」
生命の危機にさらされビビり始めたのか、男は足をガタガタと震わせながら両手をゆっくりと上げ始めた。
「どうすればいい……」
「ドアを開けてください。ちなみに叫んでも無駄ですよ?あなたは今私たち以外の人たちには見えませんし、声も聞こえませんから」
「ぐっ……わかった」
男は震える手でドアノブを握ると、ゆっくりと開け始めた。
監視塔の中では数人の兵士がモニターを見ながら監視を続けていた。しかし、扉が開いたにもかかわらず、誰一人も振り向くことがなかった。
「くそっ!なぜ気付かないんだ!」
「はい、御苦労さま」
「えっ……うっ!」
鈴仙が男の背中に突き付けていた指をひっこめると同時に、妹紅が思いっきり頭を蹴り飛ばした。強い衝撃が男の頭の中を駆け巡っていく。そして、男は白眼をむいたまま思いっきり床にたたきつけられていった。
「これで大丈夫だろ」
「そうね。でもこんなに音をたてても誰一人気付かないものなのかしら?」
「まあ、念には念をいれて強いめにいじってますから」
「それは安心ね。じゃあ月の兎さん、私だけ見えるようにしてもらえるかしら?」
「なにをするつもり幽々子」
「おもしろいこと」
「……ぷっ。何言ってるのよ……まったく」
「じゃあ能力きりますよ」
「ええ。おねがい」
鈴仙はモニターを見続ける男たちにむけて手をかざしたり見つめたりしながら何かをしていく。幽々子はその行為がひと段落したのを見届けるとフゥと息を吐き、男たちに近づきはじめた。
「お疲れ様〜。何か変わったことはあるかしら?」
「いや、今日は特にないぞ。これだけ静かだとなんか不気味なんだ……が……!?」
幽々子の問いかけに反応した男は、一瞬で血相を変えて後ろを振り向く。そこには扇子を口元にあて、ミステリアスな雰囲気を出した幽々子が、なぜか軽い笑みを浮かべていた。
「きっ……貴様どうやって!」
「まあいろいろあってね〜。早速だけど……ちょっと眠っててもらうわね?」
「何を……うわぁ!?」
男が反論しようとした瞬間、どこからともなく桜の花びらが現れたかと思うと、一瞬で桜吹雪が吹き荒れ始め部屋を埋め尽くし始めた。桜吹雪は一階だけでなく階段を駆け上がり上層階にも流れ始めていく。
数分後、桜吹雪が姿を消した時、残っていたのはその場で立ち続ける幽々子の姿と、寝息をたてながら床に伏せる男たちの姿だった。
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