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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十章―忠誠―#2
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着してきた。【最適化(オプティマイズ)】も済まされたようだ。装飾があまり施されていないシンプルな少し細身のコートと揃いのベスト、それとやはり細身のスラックス。

 さすがラナ姉さんだ。すごく型がいい。

 それにしても、レド様は顔もスタイルも良いせいか、何を着ても本当によく似合うな。

「その…、とても似合っています」

 …危ない。思わず、またしても『カッコいいです』とか口走っちゃうところだった…。

「ありがとう。────リゼも…、とてもよく似合っている」

 レド様が嬉しそうに目を細めて言う。私も新しいジャケットとベストを【最適化(オプティマイズ)】しがてら試着していた。

 お世辞ではなく、レド様が本当にそう思ってくれているのが判って、私の頬が熱くなる。

「ありがとうございます…」

 辛うじて絞り出したようなお礼を言えば────レド様はもっと嬉しそうに微笑んでくれた。


◇◇◇


 今日の夕飯は、オークの肉がたくさん手に入ったので、それを使ったトンカツである。

 カデアさんを呼び戻すことになった以上、レド様が無理に料理を覚える必要はなくなったから、“和食”を作ってみようと思い立ったのだけれど───

「レド様、休んでいてくださっていいんですよ?」
「別に疲れていないから、大丈夫だ」
「ですが、もう料理を覚える必要もないですし…、それに今日作るのは、私の前世の料理なので、覚えても材料が手に入らないものですから────」

「前にも言っただろう?リゼと一緒に料理をするのは楽しいからやりたいだけだと。それに…、今日作るのはリゼの好物なのだろう?だったら、なおのこと覚えたい。材料だって、記憶しておけば俺なら創れる」

 だから…、そういう────嬉しくなってしまうようなことを、そんなさらっと言わないでください…。


 サンルーム産の程よく張りのあるレタスに、千切りにしたシャキシャキのキャベツと瑞々しいトマトの櫛切り。
 そして────カリっと揚がった色鮮やかな狐色のトンカツ。
 光を撥ね返す、艶々の白いご飯。
 それから、太った“シメジ”のようなミグレ茸とお豆腐を入れ、細く切った葱をまぶしたお味噌汁。

 この“前世の記憶”というものは、本当に不思議なものだ。今世では初めてのはずなのに────その(かぐわ)しい匂いを懐かしく感じてしまう。

「美味しそうだな。だが────どうして4人分なんだ?」
「せっかくですから、ジグとレナスにもご馳走しようかなと思ったので…。駄目ですか?」
「………駄目ではないが」

 レド様は言葉とは裏腹に、舌打ちでもしそうな────何だかやさぐれた表情だ…。

「ジグ、レナス───聞いていたんだろう?リゼがご馳走し
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