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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第九章―才能と価値―#3
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の首を斬り抜いたまま刀を走らせ、その隣にいたオークの首を刎ねる。今度は刃の角度を意識したおかげで、すんなり斬り抜けた。

 続けて、周辺にいるオークの首を次々に刎ねる。

 オークたちはようやく私という敵を認識したらしく、一斉にこちらに向かってくる。私は太刀を薙刀に替え、薙刀を振るい間合いに入ったオークの首を刎ねていった。

 薙刀である程度数を減らすと、私は魔法で小さな火花を()()()()。火を扱うオークは、火の怖さを知っている。火種程度の小さなものだけど、オークは怯んで一瞬動きを止めた。

 私はその瞬間を逃さず、薙刀から今度は対の小太刀に得物を替え、オークが再び動き出したときには、接近し両手の刀を振るっていた。

 そして────気づくと、もう生きているオークは一頭もいなくなっていた─────


 生き残りがいないこと、周囲に他の敵の存在も感じられないことを確認し、私は納刀する。

「お見事です、リゼラ様」

 レナスが寄って来て、そう声をかけてくれる。

「オークとはいえ、この数を────反撃も許さず、すべて一刀の下、全滅させるとは…」

 オークは、体格も良く丈夫だが、とかく動きが鈍い。魔物の中では比較的、狩りやすい部類だ。

 肉の需要もあるので、冒険者にはコスパの良い獲物として人気がある。集落がそんなに発展していなければだけど。

「剣のおかげです。元の双剣だったら、もう少し時間がかかっていたと思います」

 何せ───刃毀れもせず、斬れ味が良い状態のまま戦えるのだ。

 普通の剣なら、こうはいかない。斬る度に斬れ味が落ちていき、数が多いと最後の方は斬れなくなって、打撃で倒すしかなくなる。

「いえ、時間がかかる以前に────魔物の集落を単騎で全滅させられることに驚きなのですが…」

 レナスが、苦笑いを浮かべ、少し呆れたように呟いた。


◇◇◇


「とにかく、急いで血を集めないと」

 私はいつも、血抜きには魔法を使う。魔物や魔獣の血には魔力が溶け込んでいるため、その魔力に働きかけ血を操って集め、瓶へと誘導するのだ。

 これだけの数だ。血抜きも解体も時間がかかるだろうな────なんて考えた瞬間だった。

 私の足元、それからすべてのオークの死体の下に、魔術式が一斉に現れて眩い光を放つ。

「「!?」」

 光が収束した後には────オークの死体は綺麗に解体された状態となっていた。

「リゼラ様…、今のは魔術ですか?」
「いえ、こんな魔術はなかったはずですけど…」

 思い当たるとしたら────【技能】の欄にあった【解体】という記述。

 だけど、確認するのは後だ。他の魔物や魔獣が来ないとも限らない。
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