第三部
第一話
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? 待って下さい! どうしてですか!?」
「お前には関係ない」
男はそれだけを言い残して部屋から出て行った。
「……」
突然の通達を受け脱力してしまった雛は、椅子に座りながらうつむいていた。
「……大丈夫ですか?」
「……どうして……どうして……あなたがたはこうも……」
「……」
慰めの声をかけてあげたい看守だったが、自分が革命軍の人間ということもあり声をかけれずにいた。
「あの子……大丈夫かしら……それに、私にとっても……たぶんあの子にとっても……ここでの会話が心の支えになってたのに……」
うつむきながら呟く雛の目には、うっすらとだが涙が浮かびあがっていた。
「……すいません……なにもできなくて……」
「いいんです……すいません……」
「……そうだ」
看守はなにかひらめいたのか、ポケットに入れていた手帳の1ページを切り取り、ペンと一緒に雛に差し出した。
「……これは?」
「……文通なら大丈夫かなって……書くだけでもいいから書いてみてよ。あの子もきっと喜ぶし……励みになるさ」
「!ありがとう……」
「友達に会えなくなるのはさみしいし……ましてやこの状況だったら耐えられない……それは僕でもわかるから」
「……はい」
雛はたまった涙を手で拭き取ると、ペンを持ち何かを書き始めた。
数十分後 修理室
山積みにされた壊れた武器の中、河童の少女は一人涙を流しながら作業をしていた。
「ひっく……うぐっ……ひっく……」
涙でゆがむ視界の中、必死に武器を治していく。しかし、そんな少女の努力もむなしく、次々と壊れた武器は部屋の中に放り込まれていった。
「ううっ……ひなぁ……もみじぃ……ひっく……ごめんね……」
「……にとりさん」
「!?」
聞き覚えのある声が聞こえ、作業をしていたにとりの手は止まった。
少女が振りかえると、そこにはよく知っている一人の白狼天狗が悲しそうな表情でこっちを見ていた。
「……もみ……じ……?……椛!」
思わず作業台から離れ椛に飛びつくにとり。そこから数分、椛の胸の中で赤子のように泣き続けていた。
「もみじぃ……うぐっ……ごめん……ごめんね……」
「いいんですよにとりさん。にとりさんは何も悪いことはしてないんですから……」
「ひっく……ありがとう……ひっく」
「……落ち着きましたか?」
「……うん」
にとりは軽く息を吐くと心を落ち着かせ涙を拭き取った。彼女の目はすっかり膨れ上がり、彼女が受けた傷と悲しみを物語っていた。
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