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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第七章―拠りどころ―#4
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「今日は色々あったな」
「ふふ。今日は───というか、『今日も』ですね」
「確かにな。…疲れただろう?ゆっくり休んでくれ」
レド様が少し心配そうに、私の頬を撫でて言う。その気持ちが嬉しくて、私はレド様の手に自分の手を重ねて微笑む。
「ありがとうございます。レド様こそ、ちゃんと休んでくださいね」
「ああ、ありがとう」
「それでは───お休みなさい、レド様」
私が手を放すと、レド様はちょっと名残惜し気な表情をした後、私の額に口づけた。
「っ!?」
その感触に顔を熱くする私の様子を見て、レド様は嬉しそうに口元を緩め、頬から手を放した。
「お休み、リゼ」
そう告げてレド様が自室に入っていくのを、私は呆然と見送る。
昼間のサンルームでの出来事が頭を過り、ますます熱が上がりそうになる。だけど───そのことに浸っている暇はなかった。
私は、今現在の思考をしまうようにして、意識を切り替える───これは冒険者をしていて身につけた生きる術だ。感情に囚われていては、命に係わることもある。
私は踵を返して、自室へと向かい扉を開けた。
中に入ってすぐ、天井からジグとレナスの気配を感じた。
「ジグ、レナス?どうぞ、入って来てください」
私が天井に向かってそう言うと、ジグとレナスが目の前に現れた。
「このような時間に押しかけまして、まことに申し訳ございません」
「申し訳ございません…」
「何か話があるのでしょう?───あちらのソファで座って話しましょうか」
私は二人を促して、ソファセットへと向かった。
遠慮する二人をどうにか座らせ、私が二人の向かい側に座ると、ジグが口を開いた。
「まずはお礼を言わせてください。ルガレド様の親衛騎士を引き受けていただき、本当にありがとうございます」
「こうしてオレたちがルガレド様の前に姿を現せたのも、リゼラ様のおかげです。ありがとうございます」
「そんな、お礼を言われることでは───」
ジグとレナスに深々と頭を下げられ、少し困惑してしまう。この二人にとって、レド様の親衛騎士が私である必然性はないはずだ。
「いいえ。リゼラ様だからこそ、オレたちは姿を現せたのです。場合によっては、引き続き、潜んでいなければならなかったことでしょう」
「それに───我々は、リゼラ様の境遇も、親衛騎士となられた経緯も知っております。貴女は引き受ける義務などなかった。それでも、ルガレド様の親衛騎士となってくださった。本当に感謝しております」
「ルガレド様は、ずっと…、淡々と日々を過ごしておられました。遠征で下級兵士や冒険者などと接するときも、彼らを気遣いはしますが、感情は表さず、常に無表情でした」
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