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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第七章―拠りどころ―#2
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あのときの護衛か…?」
「はい。その節は我々の力が及ばず───お二人を───セアラ様をお護りすることが出来ず…、本当に申し訳ございません」
「申し訳ございません…」

 その節とは、レド様の左眼が抉られ、セアラ側妃がお命を落とされたときのことなのだろう。跪く二人の声と肩が、苦し気に震える。

「…いや。お前たちは、よくやってくれていた。悪いのは───皇妃たちだ」

 応えるレド様の声音も苦し気だ。

 私は、レド様を支えるように、レド様の背に左手を添えて傍らに寄り添う。それに気づいたレド様が、私の肩を抱き寄せた。

「お前たちは…、いつからここに?」
「この邸が建てられたときから───主…、ルガレド様のお祖父様が亡くなられた後も、ここを離れてはおりません」

「ずっと───この8年…、ここにいたのか?」

 レド様は呆然と呟く。

「何故、俺の前に姿を現さなかった…?」

 レド様の口調には、少しだけ(なじ)るような色が混じっていた。

「我々は、元々、護衛対象には緊急時以外に姿を見せることはありません。ですが、本来なら、主であるファルリエム辺境伯が亡くなられたとき、それを引き継ぐルガレド様に挨拶すべきではありました」

「ラムルとカデア、シェラは、ファルリエム辺境伯が遣わしたとはいえ、皇宮に雇われていたために強引に解雇されました。
オレたちの雇い主はファルリエム辺境伯だったから、解雇することは出来ないでしょうが、それでも存在を知られたらきっと理由をつけて追い出されていたはずです。
ですから、存在を知られる危険性を少しでも減らすために、ルガレド様にも知らせず、気づかれないように潜んでいました」

 ラムルさんとは、以前レド様に仕えていた執事でカデアさんの夫、そしてシェラさんは、その二人と一緒に仕えていたメイドだ。

「食事などは、どうしていたのですか?」
「交代で抜け出して、使用人用の食堂や浴場に紛れ込んで済ませていました」

「レド様の状況を見て、姿を現そうとは思わなかったのですか…?」
「……それは────何度も思いました。正直…、ここまで酷い状況になるとは思っていなかったのです。侍女もメイドも姿すら現さず、食事すら用意されないなどと────
メイドの一人でも来るようなら、オレたちの存在を知らせ、隠れて手助けすることも出来たでしょう。ですが、誰も世話をする者がいない状況の中、オレたちが世話をしてしまったら怪しまれます。ルガレド様が苦しんでいるのは解っていましたが、存在を知らせずお命をお護りする方を選んだのです」

「それに、1年ちょっと我慢すればルガレド様が成人して、もっとましな状況になる───そう考えていたのです。それが、あの皇妃め───成人すら邪魔をして───まさか…、ま
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