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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第六章―約束―#5
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頷かないでください!

「ギドさん、アレドは純粋なんです!そんなこと言われたら、本当に買っちゃいますから…!」
「いいじゃねぇか、買ってもらえば。大体、今からケチでどうする。結婚したら、何にも買ってくれなくなるんだ。今のうちにたくさん買ってもらえ」
「…それは、ギドさんの体験談ですか?───さては、ギドさん、メナさんに恋人時代は貢いでいたけど、結婚してからは何にも贈ってないんですね?」

 メナさんは、ギドさんの奥さんで、ゴリラみたいなギドさんにはもったいないくらい嫋やかな美人さんだ。

「ぅ、そんなことねえよ?ちゃんと、大事にしてるぞ?」
「…本当ですか、メナさん?」
「っげ、おまえ、いつの間に」
「うふふ…、聞かれて困ることでも話していたのかしら?」
「い、いや…、そんなことは───そ、それより、ほら、こいつ!リゼの恋人だってよっ」

「あら、まあ。リゼちゃんたら、いつの間に恋人なんて作ったの?───あら、結婚の約束までしてるのね。大丈夫?騙されてない?世の中にはね、結婚前は熱烈に求愛してくれても、結婚した途端に掌を返したように冷たくなる男もいるから、気を付けた方がいいわよ。ねえ、ギド?うふふ…」

 メナさんが怖い…。

「俺は絶対にそんなことはしない。一緒にしないでもらいたい。やっとのことで結婚の承諾をもらえたのに、撤回でもされたらどうしてくれるんだ」

 レド様が私の肩を抱き寄せ、憮然とした声音で言う。メナさんは正気に返ったみたいで、今度は朗らかに笑った。

「うふふ、ごめんなさいね。良かったわね、リゼちゃん。その人なら、きっと大事にしてくれるわよ」
「ええ、それは解っています」

 私が当然のごとく頷くと、レド様の肩を抱く力が少し強くなった。

「あら、まあ。うふふ、余計なお世話だったみたい。それでは、今日はお詫びにうんとサービスするわね。たくさん買っていってちょうだいな」

 ────あれ?結局、たくさん買わされてない?



「何だか…、すごい夫婦だったな」
「ふふ、あの二人、今日はあんな感じでしたけど、あれで何だかんだ仲は良いんですよ」
「そうなのか…」

 そんな会話をしているうちに、行きつけのパン屋へと到着した。

 簡素な木の扉を開けると、カラン、とドアベルが鳴る。

 パンの香ばしい匂いがふわりと漂い、出来立ての美味しそうなパンが、小さいお店の中に所狭しと並んでいるのが目に入る。

 ピークの直前に来たせいか、他の客はいない。

「こんにちは、モナおばさん」
「いらっしゃい、リゼ────おや、そちらはリゼの恋人かい?」

 モナおばさんもいつも通りだったので、ちょっと安心する。

「こ、恋人というか…、その、結婚を約束している人、です
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