暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第六章―約束―#5
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ゃ───え?…あ、あの、リ、リゼちゃん?そちらは…?」

 どのお店に行っても、レド様を見た途端、何故だか皆一様にセラさんのような反応を示すのだ。

「…私の、結婚を約束している人です……」

 その度にそう説明するのだが、何度言っても慣れない。どうしても、頬が熱くなってしまう。多分、顔が赤くなっているはずだ。うう、恥ずかしい…。

 その後は───何だかよそよそしい雰囲気になって、そそくさと店を出る───その繰り返し。

「すみません…、レド様。いつもはこんな感じじゃなくて───みんな活気があって、もっとこう…、楽しそうな感じなんですよ。何だかみんな私の婚約が意外みたいで…」
「いや、あれは意外というか…。───リゼがこうなったのは、一体何が原因なんだ?他のことには決して鈍いわけではないのに…」
「え?」
「いや、気にしなくていい。…まあ、皆の反応は仕方がない。しばらくすれば、そのうち立ち直るだろう。それに───俺を紹介するときのリゼはすごく可愛いから、それを見られるだけで楽しい」
「っ!?」

 だから、そういう───そういうことを、さらりと言わないでください…。

「そ、そろそろ食材を買って、帰りましょうか」
「そうだな。何を買うんだ?」
「そうですね…、お肉はまだあるから、根菜類とパンですね」



 レド様を先導しつつ、まずは行きつけの八百屋さんへと向かう。

「おう、いらっしゃい、リゼ!お、そちらの旦那は初めてだな。何だ何だ、もしかしてリゼの恋人か?」

 あ、良かった。八百屋のギドさんはいつも通りだ。

「ああ。アレドという」

「へえ、リゼを選ぶとは、見る目があるじゃねえか。しかも、プロポーズ済みかよ。やるねぇ。───ああ、だから、リゼは最近、節約してたんだな?新婚生活に向けてってか」
「え?」
「最近、クズ野菜ばっか買っていくからよ、心配してたんだよな。孤児院の方へはちゃんとした野菜を届けるよう頼むのに、自分の分はクズ野菜だから、よっぽど困窮しているのかと思ってな」

 ええっ、そんな風に思われてたの?───でも、そっか、(はた)から見れば、そう見えるかも…。

「旦那、頼むぜ。リゼは本当にいい子なんだ。しっかり食べさせてやってくれよな。それが、男の甲斐性ってもんだぜ」
「…ああ、勿論だ。リゼに貧しい思いは、絶対にさせない」

 レド様が力強く宣言する。あれ、レド様、私が困窮してないって知ってますよね?

「偉い!それでこそ、男ってもんだ。それじゃあ、今日は安くしてやるぜ。リゼにちゃんとした野菜を、たくさん買ってやってくれよな!」

 私を心配してくれているのかと思いきや、これギドさんがただ単に買わせたいだけじゃ───ちょっと、レド様、そんな簡単に
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ