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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
序章―除籍と絶縁―#2
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。その努力と胆力を先代イルノラド公爵に買われ、ダズロの妻となった───はずだった。

(やはり、あれは気のせいではなかったのか???)

 実は以前、セロムは一度だけ、レミラに対して疑惑を持ったことがあった。

 レミラが嫡男のファルロと長女のファミラと庭でお茶をしていたのだが、ファルロをないがしろにしてファミラを優先しているように見えたのだ。

 その時は通りかかって遠目に見ただけであったし、まさかレミラがそのようなことをするはずがないと、気のせいだと思ってしまった。

 だけど───もし、気のせいではなかったとしたら。

 ファミラの神託である『剣姫』に比べ、ファルロに下された神託『騎士』は劣って見える。

 レミラは、リゼラほどでないにしても、ファルロをも冷遇している───いや、ファミラだけを優遇しているのだろう。

 セロムは───おそらく先代もダズロも、レミラは冷遇された過去を克服したとばかり思っていた。

 でも、もしかしたら、ずっと心の奥底に(くすぶ)っていたのかもしれない。

 レミラは、『剣姫』である娘を生んだことで、『聖母』と神託を受けた妹よりも価値があると思いたいのかもしれない。


 いずれにしても、この件は早急に調べるべきだ。まだ、リゼラの話したことが嘘である可能性もないわけでない。

 それに(あわ)せて、こうなると、ファミラについても調べてみなければならない。

 ファミラは、ジェミナ皇妃の実子である第四皇子ジェスレム=ケス・オ・レーウェンエルダの親衛騎士となることが決まっている。

 ジェスレム皇子はジェミナ皇妃に似て、浅慮で理不尽な振る舞いを平然とする。生半可な身分の者では皇子を(いさ)めることは不可能だ。

 なので、ファミラに任されることになったのだ。理不尽な命令も、イルノラド公爵家息女のファミラなら突っぱねることができるからだ。

 だが、優遇されていたことにより、もし、ファミラが傲慢に育ってしまっていたら───ジェスレム皇子の理不尽な行動を止めるどころか、助長することになりかねない。

 ダズロ達の思惑は逆効果となり、イルノラド公爵家もジェスレム皇子に引き摺られて地に落ちることになるだろう。


(リゼラ様が何度呼ばれても現れない時点で、おかしいと考えるべきだった??????)

 半月ほど前から、ダズロはリゼラを何度も呼び出していた。だが、家令のバセドはリゼラが「会いたくない」との一点張りだと言うばかりだった。

 業を煮やしたダズロがリゼラの許へ向かおうとしたのを、バセドが必死になって止めたことを疑問に思うべきだったのだ。


 リゼラがルガレド皇子殿下の親衛騎士となることは、急遽決まったことだ。

 ジェス
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