7.降谷さんの朋友。
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で解体を続けられない」
とても大掛かりな装備だから、ヘルメットだけ取るのにも時間と手間がかかる。
「面目ありません。……陣平ちゃんなら三分もありゃ充分って言ったのかなあ」
スポドリ飲みながらへへっと笑う俺に先輩は渋面になった。
「あいつだってこれには手を焼くだろう。トラップの数が尋常じゃない。……俺にだって分かる」
この先輩は爆発物処理班じゃないにしろ、今までいろんな現場をこなしてきた歴戦の機動隊員みたいだから、知識はかなり豊富なんだろうな。
「ふふ、すみません、弱音吐いてる場合じゃないですね。……充分です、ヘルメットお願いします」
ペットボトルを他の仲間に預けて、俺はふうっとひとつ深呼吸をした。
タイマーは残り7分を切っている。ヘルメットを着けるにもちょっと時間がかかるんだから、急がないと。
作業再開。
どれだけ罠をかいくぐっても、罠、罠、罠。
……クッソ……!
焦ってはいけない。トラップを見破れなくなる。慎重に、慎重に。
深く息をついても曇ることのない科学の結晶のヘルメットが、今は普段よりも重く感じた。
そして。
「────ッ」
ドッドッドッドッ
こんなに自分の心臓の音がうるさいなんて、知らなかった。
タイマーは、残り6秒。
死ぬと、思った。
周りの皆が大急ぎで防護服を脱がせにかかっているのが分かる。
逃げることを許されなかったマンションの住民たち。
こんなギリギリまで、逃げずに残ってくれた仲間。
自分だけじゃなく。
こんな皆も。
死ぬと、思った。
怖かった。
犯人が要求を飲んでくれたことで、住民に避難の呼びかけが始まっている。
(……クッソ……!)
解体、できないなんて。
足りなかった。俺は、足りなかった!
もっと、もっと、もっと!
情報収集も訓練も、もっと、必死にやってやる……!
ヘルメットも防護服も完全に解いてもらって、俺はへたり込んだ。
「……あぶな……かった……!」
残り6秒。ギリギリすぎる。
ギリギリとはいえ止まってくれたんだ。今のうちにさっさと……!
しかし作業を続けようとした俺はとめられて、無理もなくて。
住民全員の避難が完了したことで心配事がまた一つ減ったけど、ヘトヘトすぎてもう防護服は着れる気がしなくて、タイマーがとまっているからか皆もそれを何も言わずに許してくれて。
時間に余裕ができたからか、はたまた、新人の俺たちに任せ切りなのが申し訳ないとかでそれによる奮起なのか、説明してくれと請われたから、説明しながら解体を進めていると陣平ちゃんから電話が
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