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東方守勢録
第七話
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!!」


そう言った由莉香の手には、一丁のハンドガンが握られていた。

銃を構える由莉香の手は、相手を殺す殺意と幼馴染としての抵抗が入り混じり誰が見てもわかるど震えていた。

突然の行動に紫達は臨戦態勢を取るろうとするが、


「待ってくれ!」


という少年の声によりピタリと止まってしまった。

周囲に緊張感が走り始める。


「由莉香……銃をおろしてくれ」

「動かないでって言ってるでしょ! ……いくら……俊司君だって……敵なんだから……!」

「たとえ俺を殺した時点で逃げられるわけじゃねぇぞ……?」

「かまわない! ここで死んでも……私は……私は!」

「……」


俊司は何を思ったのか真剣な表情になると、由莉香をじっと見つめながら一歩一歩距離を詰め始める。由莉香はそんな彼に圧倒され少しずつ後ずさりをしはじめていた。


「……こないで……こないで! これ以上近づいたら撃つ!」

「撃てばいい……」

「……くっ」


警告しても近づいてくる少年。由莉香は現実から目をそむけるように目をつむり顔をそむけると、震えながらも思いっきり引き金を引いた。


パァン!


「ぐっ!」


揺れ続ける銃口から飛び出た弾丸は一直線に飛び、そのまま俊司の右肩を貫いた。


「俊司君! くっ!」

「待ってって言っただろ!! 聞こえなかったのか!?」

「でっ……でも!」

「いいから!」


痛む右肩を抑えながら一歩を踏み出す俊司。ついにはあと2・3歩のところまで来ていた。


「あ……ああ……」

「……由莉香」


傷口を抑えていた手をはずすと、俊司は血だらけの手で構えられていた銃をそっと下におろした。


「どう……して……」

「自分の正義を貫いただけだよ……」

「!? ……う……うあ……」


まっすぐ由莉香を見つめる俊司。そこには堅実な心構えと思いやりが隠されていた。

完全に戦意を喪失してしまった由莉香は、再び涙を流すとその場に座り込んでしまった。


「紫、スキマを使って竹林の外に出してやってくれ」

「……いいの?」

「しかたないさ……」

「……」


紫は何も言わずに脱力した少女の地面にスキマを作る。そのまま少女は、スキマに吸い寄せられるかのように中へと引きづり込まれていった。


「ごめん……由莉香……」



少年は悲しみに満ちた顔をしたまま、静かに少女が消えたスキマを見つめていた……


永遠亭防衛戦からおよそ一週間が経とうとしていた。

幸い致命傷をうけたものはおらず、右肩を負傷していた俊司も、永琳の特性特効薬の効果で動かせる
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