第二章
[8]前話
「それならな」
「尚更ですか」
「電化製品で高いと」
「売れないですか」
「そうなんだよ、わしとしても売れて欲しいけれど」
「ノルマとかありますしね」
「しかしな」
それでもというのだった。
「そうはいかないんだよ」
「そうした色々な事情があって」
「それでだよ」
まさにというのだ。
「売れないんだ」
「そうなんですね」
「皆がここで幾ら頑張ってもな」
この店でというのだ。
「戦争はどうにもならないんだよ」
「そうですね」
石田も確かにと頷いた。
「そればかりは」
「しかも高いとな」
「それだけで売れにくいですね」
「売れた時が大きいってな」
笑顔でだ、星谷は石田に言った。
「そう思ってな」
「やっていくことですね」
「そうだよ、特にこんな時はな」
「戦争があると」
「それが日本のことでなくてもな」
「影響を受けて」
「苦しくなるんだ、そこはな」
星谷は達観した様に言った。
「受け入れてな」
「そうしてですか」
「やっていこうな」
「今はですね」
「ああ、苦しい時でも仕事があるんだ」
そうだというのだ。
「それで飯が食えてるんだからな」
「やっていくことですね」
「戦争もやがって終わって物価も節電も落ち着くさ」
「やがてはですね」
「だから今は頑張ろうな」
「わかりました」
それならとだ、石田は星谷の言葉に頷いてだった。
店で働き続けた、そしてだった。
そのクーラーが売れた時にだ、大谷に笑顔で言った。
「売れる時は売れてな」
「嬉しいですね」
「うん、本当に今は大変だけれど」
「頑張っていくことですね」
「そうしていこう、そして高いものは売れたら嬉しい」
「そう思ってですね」
「やっていこう」
こう言って売れたことを喜ぶのだった、そのうえで今日も店で皆で笑顔で元気に働いていくのであった。
高いものはそうは売れない 完
2024・9・22
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ