第六話
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」
早苗の名前を出すと、女性は軽く体をビクッとさせて反応させた。
「……やっぱりそうだったんですか」
「くっ……不覚」
「……」
「……あなたは……あなたはなぜ……外来人なのにそちら側の味方をするんですか!」
「なぜって……ここを守りたいから……」
俊司がそう答えると、女性はさらに鋭く俊司を睨みつけ、興奮したようにしゃべり始めた。
「なぜです! なぜこんなやつらを……外来人を平気で虐殺するようなやつらと!」
「ぎゃっ……虐殺!?」
周りにいた全員が予期していなかった状況に唖然とした。俊司はすぐに紫にアイコンタクトを取るが、紫も心当たりがないらしく、首をかしげていた。
「そうです! 外の世界に原因不明の妖怪があらわれ……数十名の人が殺されました……それだけではありません! 他にも何百人といった人たちがこの世界に無理やり連れてこられたと聞きます……現に私の母も……そいつらに殺されたと聞きました」
「……残念ながらそれはガセネタよ」
そう言って前に出たのは霊夢だった。
「何を言って!」
「この世界は博麗大結界というもので外の世界と分離してるわ。確かに外に出ることができるやつもいるけど、それはほんの一握り。ましてや理由もなく人を殺すなんてしないわ」
「……私は……あなたたちの言葉は信じません。絶対に……仇を……」
女性は歯を食いしばりながら憎しみを訴えてくる。霊夢ははぁと溜息をつくと、また元の場所に戻って行った。
そんな霊夢と入れ替わるようにして、文がなにかを持って前に出た。
「すいません私からの質問です。戦争とは関係ないんですけど……あなたを捕まえたときこれを落としたんですけど、これなんですか?」
「……私の携帯です」
「携帯ですか……俊司さんも持ってるんですか?」
「ああ……ちょっと貸してもらえるか?」
俊司は文からピンクのケータイをもらうと、発信器や盗聴器がついていないか少し調べ始めた。
(……特に何もないか……ん? ……!?)
俊司はケータイにぶら下がっていたストラップを見ると、なぜか目を見開いた。
ストラップの先には透明のプラスチックが円状になっていて、中には一枚の小さい写真が入っており、そこには小学校4年生くらいの少年が移されていた。
何かの一部を切っとったような写真を見て、俊司は言葉を失い生唾を飲み込む。
(これ……あの時の……じゃあ……この……人って……)
新たな歯車が、また音を立てて回り始めた。
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