第四話
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一人もしとめられなかったそうだ」
「そうですか……」
「それはそうと上条少尉、なにかようか?」
「はい隊長。風をあやつらせてるあの巫女をどうするか聞きにきたのですが……」
「永遠亭に向けて風を送らせるように命令しとけ」
「了解」
由莉香はテントを後にすると、別のテントの中に入っていく。その中ではロングヘアーで緑の髪をした少女が呪文を唱え続けていた。
「東風谷早苗さん」
「……なんですか」
早苗は振り向くことなく返事を返す。
「命令が変更しました。すいませんが風の方向を永遠亭に変更してください」
「……」
早苗は何も言わず、また呪文を唱え始める。それを確認し由莉香はテントを後にしようと、テントをふさぐ布に手をかける。
「……待って下さい」
早苗は呪文を唱えるのをやめスッと立ち上がると、振り向きざまにしゃべりはじめた。
「なんでそんなに丁寧に対応して下さるんですか?ここの人は乱暴な方だと思っていたのですが」
「……ここに来てこの軍は変わったと思います。皆性格が変わったみたいに……」
「なら、あなたは今不満があるんですか?」
「……」
何か思い当たる点があったのか、黙り込んでしまう由莉香。それを見て、早苗は何かを決心すると口を開いた。
「……私に協力してもらえないですか?」
「!?」
「不満があるならこの軍にいる必要はないかと思います。私は…どうしても神奈子様と諏訪子様を助けたいんです。別に今決めなくてもいいですし…でも、もし協力してくださるのでしたら……」
「やめろ……」
「えっ……!?」
ドサッ
由莉香は人が変わったかの様に目つきを鋭くさせると、早苗を地面に押し倒した。そのままおもむろに肩に装備していたナイフを吹きぬきとると、少女の喉元に突き付けた。
「んぐっ……んぐぐ!」
由莉香は早苗の口を抑え込み、周りに声が聞こえないようにしながらナイフを突き付けていく。
「……」
(目つきが違う……さっきの人とはまるで別人みたい……!)
「……ぐっ」
(殺される!)
死の恐怖に耐えきれず、目に涙を浮かべ始める早苗。しかし、由莉香は大きく息を吐くと突き付けていたナイフを肩の鞘に戻し、早苗の体を起こした。
「はぁ……はぁ……」
「……すいません……取り乱してしまって……」
「……」
今の恐怖が心に焼き付けられたのか、早苗は何もしゃべろうとはしない。
「……二度とあのような提案をしないでください。次は…理性を保つ自信がありません。……そうなるくらいにあなたがたを憎んでいると……
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