第一章
[2]次話
台風の時は出ない
台風が来た、それでだ。
八条製薬東京支社の社長内田勇作髪の毛がつむじからなくなりザビエルの様になった色黒で彫のある顔で小柄で痩せた彼は言った。
「早いうちに決めるか」
「出勤のことですね」
「うん、ここはね」
専務の有働聡に話した、有働は大柄で丸々と太った巨漢だ。黒髪は角刈りで顔は恵比寿さんの様である。
「そうしてね」
「社員に迷惑がかからない様にしますか」
「このままいくと」
内田は自分の前に立つ有働に話した。
「三日後にはだよ」
「台風は東京に来ますね」
「勢力は強いし」
そうであってというのだ。
「下手に外に出ると」
「危ないですね」
「社員を危険に遭わせることは」
それはというと。
「絶対にだよ」
「あってはならないですね」
「支社長としてね」
「その通りです」
有働もまさにと答えた。
「さもないとです」
「責任者失格だよ」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「支社長が言われる通りです」
「早いうちにね」
「判断を下そう」
こう言ってだった。
内田は台風が来る前日の昼に実際に決断を下した、その決断は。
「三日後は台風が来る」
「だからですね」
「皆は休んで」
そうしてというのだ。
「出勤しない、どうしても大事な仕事は」
「どうしますか」
「在宅勤務で」
それでというのだ。
「働いてもらおう」
「そうしますね」
「出勤してもらったら」
そうなると、というのだ。
「危ないからね」
「電車も停まりますね」
「そうなるからね」
都内のそれがというのだ。
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