邪神ちゃんドロップキック
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うな外見だ。
彼女が、三人目のフロストノヴァのマスター候補、花園ゆりね。
ハルトは隣のコウスケを小突き、小声で言う。
「お前本当にこの人見たことないのかよ……!? かなり目立たないか?」
「ねえよ! 悪かったな、視野が狭くて!」
ハルトとコウスケのひそひそ話など気にせず、ゆりねは祐太への挨拶を終える。
そして、香子の姿を認めると、彼女は目を丸くした。
「……! もしかして、加賀香子先輩?」
「ええ」
「驚いたわ。あなたのような有名人が、ワザワザ私のところに来るなんて」
驚くほどダウナーな声。
だが、決して下向きではない顔つきの彼女へ、香子は返した。
「あなたに用があるのはこっちの二人。私はただの付き添いよ」
「……そう。瀬川先輩から連絡をもらったときは驚いたわ」
ゆりねはそう言って、ハルトとコウスケへ視線を移す。すぐにコウスケの顔へ、ピンとなったような顔を浮かべた。
「あなた、大学で見たことあるわね」
「あ、ああ。二年の多田コウスケだ。よろしく」
「よろしくね。そちらは初めましてよね」
「だね。松菜ハルトです」
「そちらもよろしく。立ち話も何だし、よかったら上がって。要件は中で聞くわ」
起伏のない声ながら、ゆりねにそれほど警戒の色は浮かんでいない。
彼女に通され、ハルト達は順々に部屋に上がっていく。
本来のハルトの収入なら、ラビットハウスではなくこのアパートに滞在することになったのだろうか。
「お邪魔します」
靴を脱ぎ、横に並んで部屋に入る一同。右端のハルトの足が畳を踏んだ途端、ミシッと通常とは異なる音を立てる。
何だ、と反応するよりも先に、畳が跳ねとんだ。
何が起こったかをハルトが認識するよりも先に、その声はハルトの頭上から刺さって来た。
「油断したなゆりね! 全ては私が魔界に帰るために!」
それは、女の子だろうか。それとも、蛇だろうか。
つい昨日、ハルトが戦った相手を想起させるようなヘビ人間。それが、ハルトの足元にあった畳から飛び出してきたのだ。
それは空中で体を回転させ、ミサイルのように全身を直線状に伸ばし。
「邪神ちゃんドロップキィィィィィクッ!」
「ふごぉ!?」
ハルトの腹に、蹴りを命中させていた。
思わず意識が飛びそうな衝撃に、ハルトは白目を剥く。
凄まじい勢いでアパートの壁に激突したハルトは、そのまま昏倒。
「あれ? 違いましたの? ゆりねじゃない……」
意識があいまいになりかけた中、ハルトはしっかりと自らにライダーキックを放った相手の姿を認めた。
やはり、金髪の美少女の姿をしている。だが、その上半身に衣類は一切纏っておらず、長い金髪のみが彼女の裸体を隠している。
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