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東方守勢録
第二話
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?」
 妖夢の事について尋ねるとごめんと伝えてほしいと静かに言った。それから二人は再開を願って笑みを返しあった後、紫は静かにスキマの中へと姿を消すのであった。
「また……会えるわよね?」
「もちろんよ」
 声が聞こえてもないのに会話をする二人。心の中で二人はそう言ってるだろうなと思うのであった。
「さてとみなさん? 冥界に来たなら、覚悟は……できてるわよね?」
 桜吹雪を消し去ると、幽々子は不敵な笑みを浮かべてそう言い放った。

「そのあと、私は呆気なく捕まってしまったわ。藍と橙は……たぶんあいつらの拠点で働かされてると思う」
 幽々子は悲しそうな顔をしていたが後悔はしてなさそうだった。その後の話は想像通りで、タイプAの実験台として無理やりチップを取り付けられ、俊司達がチップをはがすまで彼らの仲間として行動していたということだ。
「そういうことね」
「うわぁ!」
 気がつくと俊司の隣には、まるで最初からいたかのようにスキマの中から上半身をのぞかせる紫の姿があった。
「あら、そんなに驚くことかしら?」
 何食わぬ顔でそう言う紫に俊司は心の中でつっこみを入れるのだった。
「あらあら、紫ったら盗み聞き?」
「そんなつもりじゃなかったけどね。まったく、幽々子が残ったってあの子に言ったら、私も残ります!とか行かせてください!とか、結構わめいてたわよ」
 確かに幽々子を心配していた妖夢の気持ちもわからないことはない。本当なら殿を務めるのは従者である彼女の仕事なのに、主が残って自分は助かった。彼女も心のどこかで自分を責めていたのだろう。
「さて、私は……どうしたらいいかしら?」
「どうって……俊司君どうする?」
「えっ俺?」
 なぜ判断を自分に任せるのか不思議に思った俊司だったが、答えはすでに決まっていた。彼女も幻想郷の住人の一人。気持ちは自分達と変わらないはずだ。
「どうするって言われてもな……また、一緒に戦ってもらえますか?」
「ええ。すこしでも罪滅ぼしができるならね」
 幽々子はそういって優しい笑みを返していた。それを見た俊司はこの世界に来て初めて人助けが出来たんだなと実感していた。
 しかしそんな感情もすぐに消し去られてしまう。
「さてと、おなかすいたわ〜。向こうのやつらぜんぜんおいしくないものばっかりだすし。それに、このにおいは……タケノコ料理でしょ!さすが永遠亭!竹林のタケノコっておいしいのよね〜」
 あまりの変わりように俊司は思わず言葉を失ってしまった。さすがにこんなところで食いしん坊キャラみたいな発言はやめてほしいものだ。まあ所々マイペースな彼女ならではなのだろうが。
「ぷっ……幽々子らしいわね。まあ、あとでみんなにきちんと話してよね」
「わかってるわよ〜。さて、行きましょうか!」
 二人はそのま
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