第3部
サマンオサ
真実の鏡
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「いいねえ、久々のミオちんのボケにナギちんのツッコミ♪ やっぱあたしたちのパーティーはこうでないと☆」
「俺たちは旅芸人じゃないはずなんだがな」
楽しそうに話すシーラに対し、釘を刺すように言い放つユウリ。けれどなんだかんだで息のあったやり取りに感じるのは気のせいではないだろう。
「なんて言うか、いい雰囲気だね。君たちのパーティーは」
ポツリと呟くルークの言葉に、私もつい嬉しくなってしまう。
「何言ってんの、今はるーくん2号もあたしたちの仲間じゃない☆」
シーラもルークのことを仲間だと……、ん?? 『るーくん2号』?
「あの、『るーくん2号』って僕のこと?」
「あ、ごめん。ミオちんの弟くんが『るーくん』だから、似たようなあだ名になっちゃった☆」
「できれば違うあだ名にして欲しいんだけど……」
当事者からみればそう思うのも無理はない。脱力したルークはシーラにそう懇願した。
「無駄話はそこまでにしろ。もうすぐ目的地だ」
歩いているうちに、いつの間にか玉座の間の前までたどり着いていた。近くに人の気配は全く無い。先頭のユウリが玉座の間の扉をゆっくりと開ける。
警戒しながら中に入るが、広々とした玉座の間はやはり誰もいなかった。城の敷地内に入ったときといい、こんなに警備が手薄でいいのだろうか。
とはいえここで立ち止まるわけにも行かないので、辺りを警戒しつつ先へと進む。ユウリたちが聞いた王様の話では、この部屋の奥が王の寝室らしい。明かりすらない暗闇の中を、5人は静かに通り過ぎていく。
流石に寝室には鍵がかかっているだろうと思い、ユウリは最後の鍵を取り出し寝室の扉の前に立った。ところが鍵は開いており、難なく部屋に入ることができた。
(どういうことだ……?)
きっとこの場にいる全員が思ったことだろう。さらに警戒を強めながら、部屋を見回す。
ここだけは左右の壁に燭台があり、火が灯してあった。なので薄暗がりであるが、どこに何があるかひと目見てわかった。
さすが王族の寝室なだけあって、庶民の家一軒がまるまる入るほどの広さがあった。天井もとても高く、部屋の二階分は優にある。家具や調度品はとても一般人にはお目にかかれないようなものばかりで、床のカーペットもふかふかだ。奥には天蓋付きのベッドがあり、紗のカーテンで覆われていた。
カーテンの向こう側はこんもりと膨らんでおり、おそらく偽物の王が寝ているのだと判断できる。私たちはあらかじめかけておいたナギの特技である『忍び足』で足音を消しながら、ベッドに近づいていった。
「行くぞ」
カーテンのそばまで来て立ち止まると、小声でユウリが合図をした。そして次の瞬間、ユウリは勢いよくカーテンを開けた。
「!?」
しかし、ベッドの中はもぬけの殻だった。
「いない!?」
「待っ
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