第85話「”彼ら”はやって来た」
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怒る。その通り、大帝の未来ミルは確かに教えてくれた。別の選択肢である、引き金を引かぬ道を。
だが、結果はどうだ?
ミルはノイ・デウスーラの艦橋で射殺された。…救援に駆けつけたデスラー総統の親衛隊に…ではなく、親衛隊と共に駆けつけた、ブリリアンス軍の部隊によって。
何故、そこに居たのにも関わらず止めなかった?
何故、盾になろうともしなかった。
あぁ、駄目だ。自分は大帝だ。ガトランティスを率いる存在で、全知的生命体を根絶する使命がある。ましてや人間共のように、そういった”愛する”のは不要で、復讐など”愛”の次に要らぬもの。
…それなのに。
「…ゴホっ、ゴホっ!…あ、あぁ、そなたは、無事、だのうぅ、…本当に、よかった」
何故こんなにも悲しい想いと、なっているのだろう…。
ズォーダーの腕の中で息絶えた老齢の人物、ガイレーン。ズォーダーはガイレーンの顔を覆っていた特殊なゴーグルが床に落ちているのを横目に、彼を見つめる。隠されていたガイレーンの顔は、…現大帝ズォーダーと瓜二つだった。
彼は、先代大帝ズォーダーの引退した姿であり、人間で例えると父子同然の関係にあった。
ズォーダーは、先代の亡骸を目前にした際に、ふと芽生えた不合理な感情を感じた。これまで復讐の感情に流されてきたメーザー提督、そして、不要な親子心を持ったゴーランドとゴーランドの未来であるノイを、ビデオが再生するかのように思い返えさせた。
その中には…若き自分とオリジナルのサーベラー、そして彼女の腕の中で静かに眠る赤子ミルがあった。
この芽生えた感情が、認めたくない感情が、人間と何ら変わらぬ心を持った存在だということを、ズォーダーは悟らざるを得なかった。
「ふっ、我もまた、人間…」
人間では無いガトランティスはかつてゼムリア人より創られ、その後幾年か月日は流れ、ズォーダーはサーベラーなる女性に出会い、やがては彼女と結ばれた。
だが【不幸な出来事】がズォーダーへと襲い、彼は絶望した。
過去から決別するかのようにズォーダーは立ち上がり、人間という不完全な存在を根絶し、新たな世界を生み出さんと千年間行動して来た。
…しかし、それがどうか?
……憎み続けていた人間と変わりないとあっては、人間を根絶しても結局のところ変化など無に等しい。再び争いが繰り広げられる、世界が到来するだけだ。
「…ならば」
こうなった以上、自分が存在する理由は無い。
「―――やめろ、ズォーダーっ!!」
【ゴレム】を起動させ、自分を含めたガトランティス人は滅ぼう。
「(…【創造主】の使命を果たそう)」
ズォーダーは大剣を床へと強く突き刺した。
同時に【ゴ
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